受水槽の容量の決め方1日使用水量の4/10〜6/10、建物ごとの使用水量と有効容量・簡易専用水道
受水槽の容量は、建物の1日の使用水量から決めます。この記事では、東京都水道局の給水装置設計・施工基準、国土交通省の「給水装置標準計画・施工方法」、建築基準法の告示、水道法をもとに、有効容量の決め方、建物ごとの使用水量、受水槽の構造の決まり、簡易専用水道になる容量、水槽の内寸の決め方をまとめます。共同住宅50戸の計算例もつけています。
有効容量は1日使用水量の4/10〜6/10
東京都水道局の基準と国土交通省の資料では、受水槽(低置タンク)の容量を、1日あたりの使用水量の4/10〜6/10を標準としています。東京都の算定例は、どれも1日分の1/2です。高置タンクは、東京都の基準で1日使用水量の1/10が標準です。
1日の使用水量は、次のどちらかで出します(東京都)。
- 1人1日の使用水量 × 使用人員
- 単位床面積あたりの使用水量 × 床面積
実際の容量は、所轄の水道事業者の基準と設計者の判断が優先します。容量を大きくしすぎると水が滞留する原因になるので、東京都の基準では滞留水の生じない構造とするとしています。
建物ごとの使用水量
| 建物 | 1日の使用水量 | 使用時間 |
|---|---|---|
| 戸建住宅 | 200〜400L/人 | 10h |
| 集合住宅 | 200〜350L/人 | 15h |
| 事務所 | 60〜100L/人 | 9h |
| 小・中・高校 | 70〜100L/人 | 9h |
| ホテル客室部 | 350〜450L/床 | 12h |
東京都水道局の表-1(空気調和・衛生工学便覧 第14版による)の値です。事務所は在勤者1人あたりで、有効面積あたり0.2人/m²を人数の目安としています。東京都は、この表の値は設計の対象とする給水量で、年間の1日平均給水量ではないとしています。
計算例:共同住宅50戸
国土交通省の資料の計算例と同じ条件(2LDK 20戸×3.5人、3LDK 30戸×4.0人、1人1日200L)です。
- 人数:20 × 3.5 + 30 × 4.0 = 190人
- 1日使用水量:190 × 200 = 38,000L(38m³)
- 受水槽の有効容量:1/2で 19m³(4/10なら15.2m³、6/10なら22.8m³)
- 高置タンク(東京都の1/10):3.8m³
国土交通省の計算例も、19m³としています。受水槽への流入量は、1日使用水量を使用時間で割って出します(国土交通省・新潟市)。1日10時間なら3.8m³/hです。
水槽の内寸の決め方
有効容量は、満水の量ではなく、最高水位と最低水位の間の水量です(新潟市の基準が厚生省の通知を引用)。新潟市の基準では、最高水位と上壁の間を30cm以上、最低水位を揚水管より上としています。
例:有効容量19m³以上の角型水槽
最高水位を上壁から0.30m下、最低水位を底から0.20m(説明のための仮定の値)とすると、内寸4.5m×3.0m×高さ2.0mの水槽は次のようになります(展開図ラボの計算)。
- 満水(内寸いっぱい):27.00m³
- 最高水位(底から1.70m)までの量:22.95m³
- 最低水位(底から0.20m)までの量:2.70m³
- 有効容量:22.95 − 2.70 = 20.25m³(19m³以上)
満水の27m³と、有効容量の20.25m³は違います。簡易専用水道に当たるかどうかも、有効容量で判断します。
タンクの容量計算ツールで角型・内寸と液面の高さを入れると、その高さまでの量が出ます。液面に最高水位(1,700mm)と最低水位(200mm)を入れて2回計算し、差を取ると有効容量になります。タンクの容量の計算のしかたはタンクの容量計算で説明しています。
受水槽の構造の決まり
建築物の内部・屋上・最下階の床下に設ける給水タンクは、昭和50年建設省告示第1597号で次のように決められています(主なもの)。
- 外部から天井・底・周壁の保守点検を容易かつ安全にできるように設ける(いわゆる六面点検)
- 天井・底・周壁を建築物の他の部分と兼用しない
- 内部に飲料水の配管以外の配管を設けない
- マンホールは、直径60cm以上の円が内接できるもの
- 水抜管、ほこりなどが入らない構造のオーバーフロー管、通気のための装置を設ける(通気装置は有効容量2m³未満なら不要)
告示には、六面点検のための空間の寸法はありません。鹿児島市・四日市市などの水道事業者の基準では、上部100cm以上、その他60cm以上としています。2槽式にする容量の決まりも、水道事業者ごとの基準です。
有効容量10m³を超えると簡易専用水道
水道法では、水槽の有効容量の合計が10m³を超えるものを簡易専用水道としています(水道法施行令第2条)。設置者は、水槽の掃除を毎年1回以上定期に行い、毎年1回以上の検査を受けます(水道法施行規則第55条・第56条)。上の共同住宅50戸の例(19m³)は、簡易専用水道に当たります。
よくある間違い
満水の量を有効容量とする
有効容量は最高水位と最低水位の間の量で、内寸いっぱいの量より小さくなります。
容量を大きくしすぎる
使い切れない水が滞留する原因になります。1日使用水量の4/10〜6/10が標準です。
消火用水と兼用する
東京都・新潟市の基準では、飲料水の受水槽は消火用水と兼用しないのが原則です。
受水槽の容量についてよくある質問
受水槽の容量の決め方は
1日の使用水量の4/10〜6/10が標準です(東京都・国土交通省)。
受水槽の六面点検の寸法は
告示には寸法がなく、水道事業者の基準で上部100cm以上、その他60cm以上などと決められています。
簡易専用水道になる容量は
水槽の有効容量の合計が10m³を超えるものです。
高置タンクの容量は
東京都の基準では、1日使用水量の1/10が標準です。









