架橋ポリエチレン管の継手と施工方法サイズ・ポリブテン管との違い・曲げ半径と支持間隔
架橋ポリエチレン管は、給水・給湯の配管に使う樹脂管で、さや管ヘッダー工法などに使われます。呼び径10・13・16・20が中心で、見た目の似たポリブテン管とは、16と20で外径や厚さが違い、使える継手も分かれます。この記事では、JIS規格、架橋ポリエチレン管工業会の資料、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)、メーカーの技術資料をもとに、サイズ、ポリブテン管との違い、継手の種類と差し込み方、さや管ヘッダー工法、支持間隔、曲げ半径をまとめます。
架橋ポリエチレン管の規格と種類
架橋ポリエチレン管の規格は次のとおりです。
- JIS K 6769:架橋ポリエチレン管(給水・給湯用)
- JIS K 6787:水道用架橋ポリエチレン管
- JIS K 6770:架橋ポリエチレン管継手(水道用はJIS K 6788)
工業会の資料では、管は2種類に分けられています。M種は1層の管でメカニカル接合用、E種は2層の管で融着接合用です。使う継手が違うので、管の表示でどちらかを確かめてから継手を選びます。
水温と使える圧力
工業会の資料では、使用温度は95℃以下です。温度が上がるほど使える圧力は下がります。JIS K 6769のPN15(水温20℃で1.50MPaまで使える等級)の最高使用圧力は次のとおりです。
| 水温 | 最高使用圧力 |
|---|---|
| 0〜20℃ | 1.50MPa |
| 41〜60℃ | 0.95MPa |
| 71〜80℃ | 0.75MPa |
| 91〜95℃ | 0.65MPa |
サイズ(呼び径10・13・16・20)
工業会の施工ハンドブックに載っている、JIS K 6769のM種PN15の寸法です。
| 呼び径 | 外径 | 厚さ |
|---|---|---|
| 10 | 13.0mm | 1.60mm |
| 13 | 17.0mm | 2.10mm |
| 16 | 21.5mm | 2.65mm |
| 20 | 27.0mm | 3.25mm |
同じ呼び径でも、規格や種類で寸法が少し違います。水道用(JIS K 6787)のM種は、呼び径16が外径22.0mm・厚さ2.60mm、呼び径20が厚さ2.90mmです。呼び径と外径の関係は配管の呼び径と外径の早見表でも確認できます。
ポリブテン管との違い
ポリブテン管(JIS K 6778)も給水・給湯に使う樹脂管で、見た目がよく似ています。資料どうしを比べると、次の点が違います。
| 呼び径 | 架橋PE管 | ポリブテン管 |
|---|---|---|
| 10 | 13.0/1.60 | 13.0/1.60 |
| 13 | 17.0/2.10 | 17.0/2.10 |
| 16 | 21.5/2.65 | 22.0/2.60 |
| 20 | 27.0/3.25 | 27.0/2.90 |
表は「外径/厚さ(mm)」で、架橋PE管はJIS K 6769のM種PN15、ポリブテン管はクボタケミックスの資料に載っているJIS K 6778の寸法です。呼び径10と13は同じですが、16は外径、20は厚さ(内径)が違います。
- 継手:クボタケミックスの資料では、ワンタッチ継手「Jワンクイック2」は呼び径10と13がどちらの管にも使え、16と20は管ごとの専用品です。オンダ製作所の資料でも、16と20は架橋ポリエチレン管用とポリブテン管用で品番が分かれています。
- 接合方法:公共建築工事標準仕様書では、架橋ポリエチレン管は電気融着接合かメカニカル接合、ポリブテン管は熱融着接合・電気融着接合・メカニカル接合としています。
- 温度と圧力:クボタケミックスの資料では、ポリブテン管の最高使用圧力は5〜30℃で1.0MPa、81〜90℃で0.4MPaです。架橋ポリエチレン管(PN15)は上の表のとおりです。
- 曲げ半径:同じ資料で、呼び径10の最小曲げ半径はポリブテン管が100mm、架橋ポリエチレン管が150mmです。13〜20は同じ値です。
継手の種類
工業会の設計・施工マニュアルでは、継手を次の4つに分けて紹介しています。
- 袋ナット式:袋ナットを締めて、管を中のインコア(管の内側に入れる芯)に押し付けて止水する。
- スライド式:専用工具でスライドリングを動かし、管をインコアに押し付けて止水する。
- ワンタッチ式:管を差し込むだけで、パッキンなどで止水する。
- 融着式:コントローラで電気を流し、管と継手を溶かしてつなぐ(E種の管に使う)。
どの形式も「管を管軸に直角に切る」ことから始まります。公共建築工事標準仕様書では、切断は樹脂管専用カッターで行い、メカニカル接合は製造者が決めた施工標準に従うとしています。
ワンタッチ継手の差し込み手順(オンダ製作所の例)
オンダ製作所のダブルロックジョイントの取扱説明書をもとにした手順です。
- 管の外側に傷がないか確かめ、パイプカッターで直角に切る。切りくずやささくれは取り、面取りはしない。
- 継手からインコアを取り出し、管の根元まで完全に差し込む。指で入りにくいときは木ハンマーで入れる。
- インコアの長さに合わせてシールを貼るか、専用マーカーで差し込み深さの印を付ける。
- 継手に管をまっすぐ差し込み、シールや印が継手の端面まで入ったことを確かめる。
- 管を引っ張って抜けないことを確かめ、少し回して継手になじませる。
同じ資料では、2mm以上の斜め切断やのこぎり・カッターナイフでの切断はしないこと、インコアは管の変形を直して長くシール性を保つので必ず入れることとしています。なお、メーカーによって手順は違います。クボタケミックスのJワンクイック2は、インコアの挿入や面取り、印付けが要らず、透明な部分から見てガイドが標線を超えて奥に当たれば完了としています。使う継手の説明書で手順を確かめてください。
電気融着接合の要点
公共建築工事標準仕様書では、専用のスクレーパーで管の表面を削り(やすりやサンドペーパーは使わない)、継手の奥まで差し込んで受口の端に印を付けます。通電後はインジケーターが盛り上がり、印がずれていないことを確かめ、3分以上そのままにしてからターミナルピンを切るとしています。
さや管ヘッダー工法
さや管ヘッダー工法は、先に床やコンクリートの中に「さや管」というガイドの管を敷いておき、ヘッダー(分岐の器具)から各水栓まで、途中でつながずに架橋ポリエチレン管を通す方法です。工業会の資料では、継手がヘッダーと水栓のところだけなので漏水が減り、管の取り替えがしやすいことを長所としています。さや管は給水用がブルー、給湯用がピンクです。
さや管の曲げ半径と曲げ数
| 呼び径 | テープなし | 消音テープ |
|---|---|---|
| 10 | 300mm | 450mm |
| 13 | 400mm | 450mm |
| 16 | 500mm | 600mm |
| 20 | 600mm | 900mm |
工業会の設計・施工マニュアルにある、水平部の最小曲げ半径の目安です。立ち上がり部は、呼び径10と13が150mm、16が250mm、20が350mmです。曲げる箇所は合計で5〜6か所以下、配管の長さは15m以下が目安です。組み合わせるさや管のサイズは、呼び径13が22・25、16が28・30、20が36です。また施工ハンドブックでは、さや管の立ち上がりの手前500mm以内では曲げないとしています。
通管のしかた
- さや管の中の水分や汚れを、必要に応じてウエスで取る。
- 管の先端を斜めに切り、少し曲げて通りやすくする。
- 原則としてヘッダー側から押し込む。1回に押し込む長さは200〜300mmくらい。
- 無理に押して座屈した管は必ず引き抜き、新しい管を通し直す。
工業会の資料では、呼び径10と13は押し込みだけ、16と20は押し込みに引っ張りを加えるとしています。通管ワイヤーで引っ張るだけの通管は避けます。ヘッダーとの接続は、水栓側をつないでから行います。
支持間隔
工業会の設計・施工マニュアルにある、さや管の固定間隔です。
| 配管の場所 | 直線部 | 曲がり部 |
|---|---|---|
| 床ころがし | 1000mm | 300mm |
| 埋設配管 | 500mm | 300mm |
| 天井配管 | 600mm | 300mm |
公共建築工事標準仕様書でも、架橋ポリエチレン管は原則として床ころがし配管とし、直線部1,000mm、曲がり部300mm以内に固定するとしています。オンダ製作所の資料では、床ころがし配管で直管部1,000mm以内、曲がり部はその頂点から500mm以内、継手部は300〜500mmです。ほかの管の支持間隔は配管の支持間隔にまとめています。
管の最小曲げ半径
| 呼び径 | 最小曲げ半径 |
|---|---|
| 10 | 150mm |
| 13 | 150mm |
| 16 | 200mm |
| 20 | 300mm |
工業会とクボタケミックスの資料で同じ値です。オンダ製作所の資料では、曲げ半径を「管を90°に曲げたときの円弧の内側の半径」と説明しています。工業会の資料では、これより小さく曲げると管がつぶれて流量が下がったり、大きな力が残って寿命が短くなったりするとしています。クボタケミックスの資料では、継手の接合部から10cmまでは曲げずにまっすぐ配管するとしています。
よくある失敗
16と20でポリブテン管用の継手を使う
呼び径10と13は外径も厚さも同じですが、16と20は寸法が違います。継手の品番と、適合する管の種類(架橋ポリエチレン管か、ポリブテン管か)を確かめてから使います。
インコアの入れ忘れ・差し込み不足
オンダ製作所の資料では、インコアを入れ忘れてもすぐには漏れないものの、長く使うと早く漏水するおそれがあるとしています。差し込み深さの印を付け、端面まで入ったことを目で確かめます。
ビニルテープや油性マジックを管に直接使う
公共建築工事標準仕様書と工業会の資料では、溶剤や油性マーキング、ビニルテープなどの可塑剤を含む材料を管に触れさせないとしています。管端をビニルテープで養生した場合は、その部分を切り取ってから継手をつなぎます。
架橋ポリエチレン管についてよくある質問
ポリブテン管の継手はそのまま使えますか
呼び径10と13は、両方の管に使える継手があります。クボタケミックスやオンダ製作所の継手では、16と20は管の種類ごとに品番が分かれているので、メーカーの適合表で確かめてください。
水圧試験で圧力が下がりますが漏れですか
工業会の資料では、架橋ポリエチレン管は水圧をかけると圧力が少しずつ下がるとしています。そのため、0.75MPaまで上げて5分保持したあと60分観察し、0.5MPa以上あることを確かめる方法をすすめています。これを下回ったときは漏水の可能性があります。
何℃のお湯まで使えますか
工業会の資料では95℃以下です。オンダ製作所の資料では、最高使用圧力0.65MPaの場合に95℃まで使えるとしたうえで、70℃を超えるお湯を常に流す配管には使わないとしています。
屋外に露出で配管できますか
オンダ製作所の資料では、紫外線で劣化するため屋外での露出配管は避け、遮光するか耐候性のある製品を使うとしています。









