パイプのけがき方真裏の線・円周の等分・直角の切断線
パイプ(鋼管)のけがきでつまずきやすいのは、長手方向の線を真裏(180°反対)にも引くこと、円周を4等分・8等分すること、管の軸に直角な切断線をぐるりと一周引くことの3つです。この記事では、特別な道具がなくてもできる、紙テープで円周を割る方法と、定盤とスコヤで真横の点を出す方法、SGPの呼び径ごとの円周と等分の長さの早見表、斜めに切るときの型紙の作り方、よくある失敗をまとめます。
パイプのけがきで出す線は3種類
- 長手方向の線(管の軸に平行な線):枝管の取付け位置、穴の位置、フランジの向きの目印など
- 円周の等分の点:4等分(90°ごと)、8等分(45°ごと)など。長手方向の線の起点になる
- 周方向の線(管の軸に直角な線):直角に切る切断線、継手の差込みの目印など
Yahoo!知恵袋でも、パイプに沿って引いた線の真裏にもう1本引く方法や、直径約150mmの円柱に45°ピッチで8本の線を引く方法、100mmの鉄管を45°に切る切断線の付け方が質問されています。どれも、円周の上で位置を正しく割ることが出発点になります。
紙テープで円周を等分する
いちばん確実なのは、紙テープ(帯状に切った紙)をパイプに巻いて円周の長さを取り、折って等分する方法です。
- 端がまっすぐな紙テープをパイプに一周巻き、重なった位置に印を付ける。印から端までが円周の長さ。
- 円周の長さで切り、半分に折ると2等分、さらに半分で4等分、もう一度で8等分になる。
- テープをパイプに巻き戻し、折り目の位置にパイプへ印を付ける。
- 長手方向の線を引く位置で、離れた2か所(両端の近く)に同じように印を付ける。
- 2か所の印を、アングル(山形鋼)や真っすぐな定規を当てて結ぶ。
計算で長さを出すなら、円周=π×外径です。直径150mmの円柱なら円周は471.2mm、8等分は58.9mmです(展開図ラボの計算)。メジャーを巻いて測るときは、円周に沿って曲がった長さ(弧の長さ)を測ることになるので、等分の長さも弧の長さで取ります。
早見表:SGPの円周と等分の長さ
| 呼び径 | 外径 | 円周 | 4等分 | 8等分 |
|---|---|---|---|---|
| 15A | 21.7 | 68.2 | 17.0 | 8.5 |
| 20A | 27.2 | 85.5 | 21.4 | 10.7 |
| 25A | 34.0 | 106.8 | 26.7 | 13.4 |
| 32A | 42.7 | 134.1 | 33.5 | 16.8 |
| 40A | 48.6 | 152.7 | 38.2 | 19.1 |
| 50A | 60.5 | 190.1 | 47.5 | 23.8 |
| 65A | 76.3 | 239.7 | 59.9 | 30.0 |
| 80A | 89.1 | 279.9 | 70.0 | 35.0 |
| 100A | 114.3 | 359.1 | 89.8 | 44.9 |
| 125A | 139.8 | 439.2 | 109.8 | 54.9 |
| 150A | 165.2 | 519.0 | 129.7 | 64.9 |
| 200A | 216.3 | 679.5 | 169.9 | 84.9 |
単位はmmです。外径は配管用炭素鋼鋼管(SGP、JIS G 3452)の値です(配管の呼び径と外径の早見表と同じ)。保温の上からけがくときは、保温の外径で計算します。
定盤とスコヤで真裏の線を引く
パイプを平らな台(定盤)の上に寝かせ、両側からスコヤ(直角定規)を台に立てて当てると、スコヤがパイプに触れる点は、パイプの中心と同じ高さになります。左右の2つの接点は、ちょうど180°反対の位置です(展開図ラボの作図)。
- 接点に印を付け、パイプを動かさずに長手方向の離れた位置でも同じように印を付ける
- 2つの印をアングルや定規で結ぶと、真裏どうしの2本の線になる
- その2本の線のあいだを紙テープで半分に割れば、4等分の線になる
パイプが転がらないように、台にパイプを置いたら木のくさびなどで止めてから印を付けます。
海上技術安全研究所の「機械加工の基礎知識」(円筒部品のけがきと穴あけ加工)でも、材料を固定して定盤に置き、ハイトゲージを半径の高さに合わせて線を引き、90°回して引き直すことで、円筒の中心を通る線を出しています。ハイトゲージがあれば、スコヤの代わりに使えます。
立てた円柱に線を引くとき
立てた状態の円柱では、紙テープで上と下の2か所に等分の印を付け、上下の印を下げ振りの糸やレーザー墨出し器の鉛直のラインに合わせて結ぶと、軸に平行な線を引けます(円柱が鉛直に立っている場合)。下げ振りの使い方は下げ振りの使い方にまとめています。
直角の切断線を一周引く
管の軸に直角な線は、端がまっすぐな紙テープをパイプに一周巻き、重なったところでテープの端どうしがぴったりそろうように巻き直してから、テープの端に沿って線を引きます。端がずれて重なると、線はらせん状になり、直角になりません。太いパイプでは、ベルトを巻いてその端に沿ってけがく市販の「パイプ円周ケガキ定規」(清水製作所のラクダ、外径470mmまで)のような道具もあります。
- テープの幅は、パイプが太いほど広いほうが巻きやすい
- テープの端と、すでに引いた長手方向の線が直角に交わっているかを、スコヤで確かめる
斜めに切るときは型紙を巻く
45°などに斜めに切る切断線は、パイプの表面では平らな線にならず、開くと山の形の曲線になります。Yahoo!知恵袋の回答でも、紙に展開図を書いてパイプに巻き付けて線を入れる方法が紹介されていました。型紙の高さは、展開図ラボのパイプの斜め切りのツールで、外径と角度を入れると原寸で印刷できます。計算式と書き方はパイプの斜め切りの展開図で説明しています。
型紙は、先に引いた長手方向の線(4等分の線など)に型紙の目盛りを合わせて巻きます。型紙の起点がずれると、切り口の向きがずれます。
パイプのけがきでよくある失敗
メジャーで測った直線の長さで割る
円周の等分は、円周に沿った長さ(弧)で割ります。パイプの断面で、点と点を直線で結んだ長さ(弦)とは違います。150φの8等分なら、弧は58.9mm、弦は150×sin22.5°=57.4mmです(展開図ラボの計算)。
テープの端がずれたまま引く
テープの端どうしがそろっていないと、周方向の線がらせん状になります。巻いたら一周見て、端がそろっているかを確かめます。
保温や塗装の厚さを見込まない
保温の上や厚い塗装の上でけがくと、円周が鋼管の外径から計算した値より長くなります。実際に巻いて測った長さで割ります。
けがきについてよくある質問
パイプの真裏に線を引くには
平らな台にパイプを置き、両側からスコヤを当てた接点に印を付けると、左右180°反対の位置になります。紙テープで円周を半分に折って印を付ける方法もあります。
150φの円柱を8等分するには
円周は π×150=471.2mm、8等分は58.9mmです。円周の長さの紙テープを3回半分に折って印を付け、巻き戻して写します。
パイプを45°に切る線はどう付けますか
パイプの外径と角度から型紙を作り、パイプに巻いて線を写します。型紙はパイプの斜め切りのツールで原寸印刷できます。









