鉄筋の加工寸法と伸び外法から切断長さを出す計算と早見表
鉄筋を曲げると、曲げた外側どうしで測った長さ(外法)の合計は、まっすぐなときの長さより長くなります。この差が「曲げの伸び」です。この記事では、公共建築工事標準仕様書の折曲げ内法直径と余長、外法から切断長さを出す式、D10〜D25の伸びとフックの早見表、L形・スターラップ・主筋のフックの計算例、計算と実際の伸びが違う理由をまとめます。
加工寸法と切断長さの関係
加工図や加工帳では、曲げた鉄筋の各辺の寸法を、外側どうし(外法)で書くことが多くあります。外法の合計のまま切ると、曲げたあとに各辺が少しずつ長くなります。そこで、曲げ1か所ごとに決まった長さ(伸び)を引いて、切断長さを出します。
図面の寸法が外法か、内法か、鉄筋の芯か、どこからどこまでかを先に確かめてください。この記事の計算は、外法で書かれている場合です。
折曲げの内法直径と余長の決まり
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の5.3.2「加工」と表5.3.1では、折曲げの内側の直径(内法直径)と、曲げたあとの先端の長さ(余長)が次のように決まっています。dは異形鉄筋の呼び名に用いた数値(D13なら13)です。
| 鉄筋の種類 | 呼び名 | 内法直径 |
|---|---|---|
| SD295・SD345 | D16以下 | 3d以上 |
| SD295・SD345 | D19〜D38 | 4d以上 |
| SD390 | D19〜D38 | 5d以上 |
- 180°フック:余長4d以上
- 135°フック:余長6d以上
- 90°フック:余長8d以上
- 幅止め筋の135°・90°:余長4d以上
- 片持ちスラブ先端、壁筋の自由端側の先端の90°・135°フック:余長4d以上
同じ5.3.2では、帯筋、あばら筋、幅止め筋、柱の四隅の主筋の重ね継手などの末端にフックを付けるとされています。90°未満の折曲げの内法直径は特記によります。
曲げの伸びの計算式
鉄筋を曲げると、曲げの内側は縮み、外側は伸びます。鉄筋の芯(中心線)は長さが変わらないとして、芯の長さで切断長さを出します。内法直径をD、鉄筋の径をdとすると、次のとおりです。
- 内側の半径 r=D÷2
- 芯の半径 ρ=r+d÷2
- 90°曲げ1か所の伸び=2×(r+d)−ρ×π÷2
外法の2辺は、どちらも曲げの外側の面まで測っているので、角の部分を2回数えています。その分(2×(r+d))から、実際に曲がっている芯の弧の長さ(ρ×π÷2)を引いた差が伸びです。
内法直径が3dのときは伸び=1.858d、4dのときは伸び=2.073dになります。
早見表:90°曲げ1か所の伸び
| 呼び名 | 内法直径 | 伸び |
|---|---|---|
| D10 | 3d=30 | 18.6 |
| D13 | 3d=39 | 24.2 |
| D16 | 3d=48 | 29.7 |
| D19 | 4d=76 | 39.4 |
| D22 | 4d=88 | 45.6 |
| D25 | 4d=100 | 51.8 |
単位はmmです(展開図ラボの計算)。SD295・SD345を仕様書の最小の内法直径で曲げ、dを呼び名の数値として計算しています。
フックの長さ(外法の端から足す長さ)
鉄筋の端にフックを付けるときは、外法の端(曲げの外側の面)から先に、フックの分を足して切断長さを出します。
- フックの分=芯の弧の長さ+余長−(r+d)
- 芯の弧の長さ=ρ×曲げ角度(ラジアン)。180°はρ×π、135°はρ×π×3÷4、90°はρ×π÷2
| 呼び名 | 180° | 135° | 90° |
|---|---|---|---|
| D10 | 77.8 | 82.1 | 86.4 |
| D13 | 101.2 | 106.8 | 112.3 |
| D16 | 124.5 | 131.4 | 138.3 |
| D19 | 168.2 | 168.9 | 169.6 |
| D22 | 194.8 | 195.6 | 196.4 |
| D25 | 221.3 | 222.3 | 223.2 |
単位はmmです(展開図ラボの計算)。余長は180°が4d、135°が6d、90°が8dで、内法直径はD16以下が3d、D19以上が4dです。
鉄筋の加工寸法の計算例
L形:D13、外法1000×300
- 外法の合計=1000+300=1300
- 切断長さ=1300−24.2=1275.8mm
座標で芯の線を引いて長さを測っても、1275.8mmで一致します。
スターラップ:D10、外法250×550
あばら筋の両端を135°フックにする例です。
- 外法の合計=250+550+250+550=1600
- 90°曲げ3か所の伸び=18.6×3=55.7
- 135°フック2か所の分=82.1×2=164.2
- 切断長さ=1600−55.7+164.2=1708.5mm
帯筋(フープ)も同じ考え方です。D13・外法600×600なら、2400−24.2×3+106.8×2=2541.0mmです。
主筋の両端に90°フック(D22)
- 外法の長さ=3000
- フック1か所の分=196.4(内法直径4d=88、余長8d=176)
- 切断長さ=3000+196.4×2=3392.8mm
- フックの立上りの外法=余長176+r44+d22=242mm
切断長さが出たら、重さは単位質量×長さで出ます。D10・1708.5mmなら0.560kg/m×1.7085m=約0.96kgです。
鉄筋工事の加工・組立は、建築施工管理技士の検定でも問われる分野です。
計算と実際の伸びが違う理由
ここまでの値は、仕様書の最小の内法直径で曲げ、芯の長さが変わらないとした計算です。実際の伸びは次の理由で変わります。
- 曲げ機の曲げ型(ピン)の径が、最小の内法直径より大きいことがある
- 異形鉄筋の節の分、外法で測る寸法が呼び名の数値より大きくなる
- 曲げる位置の印の付け方(印を曲げの始まりに合わせるか、外法の位置に合わせるか)が加工場で違う
量産する前に、1本を印どおりに曲げて外法を測り、自分の曲げ機での伸びを確かめると確実です。加工場ごとに伸びの表がある場合は、その表を優先します。
鉄筋の加工寸法と伸びについてよくある質問
鉄筋の曲げの伸びとは何ですか
外法で測った各辺の合計と、曲げる前の鉄筋の長さの差です。曲げ1か所ごとに、外法の合計から伸びを引くと切断長さになります。
D10を90°に曲げたときの伸びはいくつですか
内法直径3d(30mm)で曲げた計算では18.6mmです。D13は24.2mm、D16は29.7mmです。
計算に使う径は呼び名ですか
公共建築工事標準仕様書の折曲げの表では、dを呼び名に用いた数値としています。この記事の早見表もその値で計算しています。
135°フックの余長はいくつですか
6d以上です。D10なら60mm以上、D13なら78mm以上です。幅止め筋は4d以上です。
加工寸法の許容差はどこで決まっていますか
日本建築学会のJASS 5(鉄筋コンクリート工事)に加工寸法の許容差の表があります。版によって見直しがあるので、工事で使う版と特記仕様書で確かめてください。









