型枠の組み方基礎・土間の手順とセパレーター・フォームタイの役割、側圧・剥離剤・存置期間
型枠は、コンクリートを流し込んで形をつくるための仮の枠です。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編 令和7年版)と土木工事共通仕様書(令和7年3月)、労働安全衛生規則の型枠支保工の条文、日本コンクリート工学会の講座記事、メーカーの技術資料をもとに、型枠の組み方の手順、各部材の役割、側圧、剥離剤、打設前の検査と外す時期をまとめます。
型枠の構成
標準仕様書では、型枠は「せき板」と「支保工」でできているとしています。せき板はコンクリートに直接ふれる板で、支保工はせき板を支えて位置と形を保つ部材です。日本コンクリート工学会の講座記事(「型枠工事 ①型枠工事の基本」2017年)では、在来の型枠を次のように説明しています。
| 部材 | 役割 |
|---|---|
| せき板 | 形と表面を決める |
| 桟木 | 合板の補強 |
| 内端太 | せき板の変形を防ぐ |
| 外端太 | 内端太を支える |
| セパレーター | 板の間隔を保つ |
| Pコン | セパの端の部品 |
| フォームタイ | 端太を締め付ける |
| 支柱 | 床・梁の底を支える |
せき板(コンパネ)
せき板には、合板と桟木でパネルにしたものが最も多く使われています。標準仕様書では、合板をせき板にする場合はJAS(合板)のコンクリート型枠用合板とし、厚さは特記がなければ12mmとしています。講座記事でも、サブロク板(900×1,800mm)やニロク板(600×1,800mm)の12mmが標準とされています。合板の寸法は合板・コンパネのサイズ一覧にまとめています。
端太(内端太・外端太)
端太(ばた)は、せき板の裏から当てて変形を防ぐ補強材です。講座記事によると、昔は端太角(角材)が使われ、今は桟木や角・丸のパイプが主流です。せき板に接する内端太を、直交する向きの外端太で押さえます。日本製鉄の建設用資材ハンドブックの図では、内端太に48×24やφ48.6、外端太にφ48.6の材料を使う例が示されています。
セパレーター・Pコン・フォームタイ
セパレーターは、向かい合うせき板の間隔を一定に保ち、側圧でせき板が開くのを防ぐ金物です。Pコンは、セパレーターの端に付けるプラスチック製のコーンで、ここにフォームタイをつなぎます。フォームタイは、Pコンを介してセパレーターにねじ込み、外端太をせき板に締め付ける金物です。
標準仕様書では、型枠の締付けはボルト式とし、排水桝のようなものだけは番線式にできるとしています。土木工事共通仕様書でも、締付けにはボルトまたは棒鋼を使い、型枠を外したあとは締付け材をコンクリート表面に残さないとしています。
基礎・土間の型枠を組む手順
手順は工法で変わるため、ここでは仕様書に書かれている要点を順番に並べます。
- 墨を出す:捨てコンクリート(標準仕様書では特記がなければ厚さ50mmで平らに仕上げる)の上に、通り芯や型枠の位置の墨を出します。墨出しは墨出しとはで解説しています。
- せき板を建てる:墨に合わせてせき板を立てます。継目は部材の軸に直角か平行にそろえ、モルタルが漏れないようにします(土木工事共通仕様書)。
- 締め付ける:セパレーターを入れ、Pコン・フォームタイで内端太・外端太を締めます。
- 埋込み物を固定する:配管のスリーブやボックス、アンカーボルトなどを、打設中に動かないよう堅固に取り付けます。
- 寸法と通りを確かめる:位置・幅・高さ・垂直を測ります。型枠は足場や遣方とつなぎません(標準仕様書)。
- 清掃して打設する:型枠の中を掃除し、吸水しそうな所は湿らせておきます(土木工事共通仕様書)。
- 外す:存置期間が過ぎてから外し、締付け金物の跡を処理します。
土間コンクリートは地面の上に打つので、型枠は周りの側面だけになることが多く、せき板の天端を仕上がりの高さに合わせて組みます。
側圧の考え方
固まる前のコンクリートは液体に近く、型枠の側面を外へ押します。これが側圧です。講座記事では、側圧はコンクリートの高さ(ヘッド)と単位容積質量の積で求めるのが基本で、スランプ、打上がり速度、気温、型枠の剛性などでも大きく変わるとしています。
たとえば、講座記事の表にある普通コンクリートの値24kN/m³で液圧を計算すると、深さ1mの位置で24kN/m²(1m²あたり約2.4t分の力)になります。
この力を受け止めるのがセパレーターです。日本製鉄のハンドブック(岡部のフォームタイ)では、丸セパの許容引張荷重を次のようにしています。
| 丸セパのねじ | 許容引張荷重 | 引張破断荷重 |
|---|---|---|
| W5/16 | 14,000N | 20,000N |
| W3/8 | 21,000N | 30,000N |
| W1/2(D型) | 28,000N | 40,000N |
考え方の例として、側圧24kN/m²の位置でW5/16の丸セパを使うと、1本が受け持てる面積は14÷24で約0.58m²です。実際のセパレーターや端太の間隔は、せき板や端太のたわみも含めて施工計画で決めるもので、この計算だけで決めるものではありません。側圧の計算式は土木学会と日本建築学会がそれぞれ示していて、建築学会の式は打込み速さ・打込み高さ・柱か壁かで分けています。
剥離剤の使い方
剥離剤(はく離剤)は、せき板にコンクリートがくっつかないように塗る薬剤です。標準仕様書は、剥離剤を使う場合はコンクリート面に悪い影響を与えないものとしています。土木工事共通仕様書では、型枠の内面に均一に塗り、鉄筋に付かないようにするとしています。
打設前の検査で見るところ
標準仕様書では、コンクリートを打つ前に型枠の組立状態を確認し、監督職員に報告するとしています。仕様書の内容から、見るところをまとめると次のとおりです。
- 位置と寸法:墨どおりか、幅・高さが図面どおりか
- 締付け:フォームタイの締め忘れ、端太の抜けがないか
- すき間:せき板の継目や足元から漏れないか
- かぶり:鉄筋とせき板の間にスペーサーで所定のかぶりがあるか(鉄筋のかぶり厚さ)
- 埋込み物:スリーブ・アンカーボルトが固定されているか
- 中の清掃:木くずや土が残っていないか
標準仕様書の許容差の標準値は次のとおりです(表6.2.3)。
| 項目 | 許容差 |
|---|---|
| 部材の位置 | ±20mm |
| 柱・梁・壁の断面 | 0〜+20mm |
| 基礎の断面 | 0〜+50mm |
基礎の断面には基礎梁も含みます。断面はマイナス側が0なので、型枠は図面より小さくならないように組みます。
型枠支保工の安全のきまり
スラブや梁の下に支柱を立てて型枠を支える場合は、労働安全衛生規則の型枠支保工の条文(第237条〜第247条)がかかわります。主な内容は次のとおりです。
- 組立図:組立図を作り、そのとおりに組み立てる(第240条)。設計荷重は、支える物の重さに型枠1m²あたり150kg以上を加えたもの
- 沈下・滑動の防止:敷角などで支柱の沈下を防ぎ、根がらみなどで脚部の滑りを防ぐ(第242条)
- パイプサポート:3本以上継いで使わない。継ぐときは4本以上のボルトか専用金具。高さが3.5mを超えるときは、高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設ける(第242条)
- 打設の日の点検:その日の作業を始める前に型枠支保工を点検し、異状があれば補修する(第244条)
- 作業主任者:組立て・解体は、型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選ぶ(第246条)
また、同規則の別表第7には、支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工が、計画の届出の対象として挙げられています。
型枠はいつ外せるか
標準仕様書では、型枠は最小存置期間が過ぎてから外すとし、期間はコンクリートの材齢または圧縮強度で決めます。基礎や壁の側面のせき板は、普通ポルトランドセメントで存置期間中の平均気温が15℃以上なら3日、5℃以上なら5日、0℃以上なら8日です。日数によらず、圧縮強度が5N/mm²以上になったことを確かめれば外せます。寒くて強度の出が遅れそうなときは、圧縮強度で決めます。セメントの種類ごとの日数や、スラブ下・梁下の支柱の期間はコンクリートの養生期間と型枠の存置期間にまとめています。
外したあと、仕上げのない所は締付け金物の頭を取り、錆止め塗料を塗ります。Pコンを使った所はPコンを外し、保水剤か防水剤入りのモルタルを詰めます(標準仕様書6.8.5)。
よくある失敗
はらみ・パンク
講座記事では、型枠のふくらみを「はらみ」と呼んでいます。フォームタイの締め忘れや端太の不足があると、側圧でせき板が外へ押し出されます。側圧は打上がり速度でも大きくなるので、高い所を一気に打ち上げないことも大切です。
のろ漏れ
せき板のすき間からセメントペーストが漏れる「のろ漏れ」は、講座記事で型枠の主な欠陥の一つに挙げられています。継目や足元のすき間をふさいでから打ちます。
剥離剤を鉄筋に付ける
剥離剤を塗るときに、近くの鉄筋にまでかけてしまう失敗です。土木工事共通仕様書では、型枠の内面に均一に塗り、鉄筋に付かないようにするとしています。
型枠の組み方についてよくある質問
型枠に使うコンパネの厚さは
標準仕様書では、合板のせき板の厚さは特記がなければ12mmとしています。
セパレーターとフォームタイの違いは
セパレーターは型枠の内側に入れて、せき板の間隔を保つ金物です。フォームタイは型枠の外側から、セパレーターにつないで端太を締め付ける金物です。セパレーターはコンクリートの中に残ります。
型枠は何日で外せますか
基礎・壁の側面のせき板は、普通ポルトランドセメントで平均気温15℃以上なら3日が標準仕様書の最小存置期間です。気温やセメントで変わるので、存置期間の表で確かめてください。
型枠の作業に資格は要りますか
型枠支保工の組立て・解体の作業では、技能講習を修了した人から作業主任者を選ぶことが労働安全衛生規則で決められています。









