必要換気量の計算シックハウスの換気回数、人員による換気量、火気使用室の換気量とダクトのサイズ
換気設備の風量は、まず「何m³/hの換気が必要か」を決め、その風量を流せるダクトの太さを選ぶ、という順番で決まります。この記事では、建築基準法施行令と昭和45年建設省告示第1826号をもとに、シックハウス対策の換気回数、人員による換気量、火を使う部屋(調理室など)の換気量の3つの計算式と計算例をまとめ、出した換気量からダクトのサイズを出す方法までを説明します。
3つの必要換気量
- シックハウス対策:建築基準法施行令第20条の8。部屋の容積と換気回数で決まる
- 人員による換気:同第20条の2。窓などで換気できない居室の換気設備に、床面積と1人あたりの占有面積で決まる
- 火を使う部屋:同第20条の3と昭和45年建設省告示第1826号。燃料の消費量で決まる
部屋の用途によって、どの式を使うかが変わります。複数の決まりがかかる部屋では、それぞれ確かめます。
シックハウス対策の換気量
施行令第20条の8では、機械換気設備の有効換気量を次の式で決めています。
Vr = n × A × h
- Vr:必要有効換気量(m³/h)
- n:住宅等の居室は0.5、その他の居室は0.3(1時間あたりの換気回数)
- A:居室の床面積(m²)、h:天井の高さ(m)
計算例:6畳の居室
3.64 × 2.73mの6畳、天井高2.4mの住宅の居室なら、0.5 × 3.64 × 2.73 × 2.4 ≒ 11.9m³/hです(展開図ラボの計算)。
人員による換気量
施行令第20条の2では、換気設備の有効換気量を次の式で決めています。
V = 20 × Af ÷ N
- V:有効換気量(m³/h)
- Af:居室の床面積(m²)。換気に有効な窓などがあるときは、その面積の20倍を引いた値
- N:1人あたりの占有面積(m²)。特殊建築物の居室は3、その他の居室は10を上限とする
Af ÷ N は部屋の人数にあたるので、1人あたり20m³/hと読み替えることもできます(展開図ラボの読み方)。
計算例:50m²の事務室に10人
- 窓なし:N = 50 ÷ 10 = 5、V = 20 × 50 ÷ 5 = 200m³/h
- 換気に有効な窓が1m²ある場合:Af = 50 − 1 × 20 = 30、V = 20 × 30 ÷ 5 = 120m³/h
厚生労働省の資料では、二酸化炭素の濃度を1,000ppmに保つには、1人あたり約30m³/hの換気が必要としています。10人なら約300m³/hです。
火を使う部屋の換気量
告示第1826号では、火を使う器具のある部屋の換気量を、器具の燃料の消費量から次の式で決めています。
V = 係数 × K × Q
| 排気の方法 | 係数 |
|---|---|
| フードなし | 40 |
| 排気フード(イ) | 30 |
| 排気フード(ロ) | 20 |
| 煙突 | 2 |
排気フードのイ・ロは、告示で決められたフードの形と寸法の違いです。Kは燃料の単位燃焼量あたりの理論廃ガス量で、都市ガス・LPガスは0.93m³/kWh、灯油は12.1m³/kgです。Qは器具の燃料消費量(kW、灯油はkg/h)です。
計算例:ガス器具の合計10kW
- フードなし:40 × 0.93 × 10 = 372m³/h
- 排気フード(イ):30 × 0.93 × 10 = 279m³/h
- 排気フード(ロ):20 × 0.93 × 10 = 186m³/h
Qの10kWは計算のための仮の値です。実際は、使う器具の燃料消費量の合計で計算します。
換気設備がいらない場合
施行令第20条の3では、床面積100m²以内の住宅の調理室で、火を使う器具の合計が12kW以下、換気に有効な開口部が床面積の1/10以上(0.8m²以上)あるときなどは、換気設備を設けなくてよいとしています。
換気量からダクトのサイズを出す
必要な換気量が決まったら、その風量を流すダクトの断面積を、風量 ÷ 風速 で出します。
- 断面積(m²) = 風量(m³/h) ÷ 3,600 ÷ 風速(m/s)
- 丸ダクトの直径 = √(4 × 断面積 ÷ π)
上の排気フード(イ)の279m³/hを、風速3m/sで流す丸ダクトなら、279 ÷ 3,600 ÷ 3 ≒ 0.0258m²、直径は約181mmです(展開図ラボの計算)。風速は設計の条件で決めます。風量と風速からダクトのサイズを出すには、ダクトの風量・風速・サイズの計算ツールが使えます。風速と断面積の関係はダクトの風量計算で説明しています。
よくある間違い
Qの単位をkW/hと書く
告示の燃料消費量は、ガスならkW(灯油はkg/h)です。
人員の式で占有面積の上限を忘れる
Nは、特殊建築物の居室で3、その他の居室で10を超えるときは、その値にします。
シックハウスの換気回数を部屋の用途で取り違える
住宅等の居室は0.5回/h、それ以外の居室は0.3回/hです。
必要換気量についてよくある質問
24時間換気の換気量の計算式は
建築基準法施行令第20条の8で、Vr = n × A × h です。住宅等の居室はnが0.5です。
キッチンの換気扇の必要換気量は
告示第1826号で、V = 係数 × K × Q です。ガスでフードなしなら、40 × 0.93 × 器具の消費量(kW)です。
事務所の換気量は1人何m³/hですか
施行令第20条の2の式は、1人あたり20m³/hと読み替えられます。厚生労働省の資料では、二酸化炭素1,000ppmに保つには1人あたり約30m³/hとしています。
換気量からダクトの太さはどう出しますか
風量を3,600と風速で割って断面積を出し、その断面積になる直径や縦横の寸法を選びます。









