スパイラルダクトの継手種類・差込み長さ・ビス本数と接続方法
スパイラルダクトは、直管と継手を差し込んでつなぎます。この記事では、国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版」、JIS A 4009(空気調和及び換気設備用ダクトの構成部材)、メーカーのカタログをもとに、継手の種類と使い分け、呼び径と外径の関係、差込み長さとビスの本数、シールとテープの巻き方、フランジ接合、吊りの間隔をまとめます。
スパイラルダクトの呼び径と継手の外径
スパイラルダクトは、亜鉛鉄板をらせん状に巻きながら、はぜを掛けて作った丸いダクトです。直管の呼び径は内径で、内径の許容差は0〜+2mmです(公共建築工事標準仕様書、JIS A 4009)。
継手は反対に外径が基準で、呼び径より少し細く作られています。細い継手を直管の内側に差し込んでつなぐ仕組みです。
| 呼び径 | 継手の外径の許容差 |
|---|---|
| 710未満 | −1.2〜−1.9mm |
| 710以上1,250以下 | −2.0〜−2.2mm |
公共建築工事標準仕様書の表3.1.25とJIS A 4009の表4の値です。メーカーによっては、継手の外径を「呼び径−2mm」「呼び径−3mm」のように独自の基準で作っています。JISの内径の寸法は75、100、125、150、175、200、250、300…と決められていて、225・275・325などはメーカーが作っているサイズです。
継手の種類
- ニップル(差込継手):直管どうしをまっすぐつなぐ
- ベンド(エルボ):90°・45°に曲げる
- T管:直角に分岐する
- Y管:45°で分岐する
- 片落管(レジューサー):径を変える
- S管:芯をずらす
- Tカラー・定着カラー:角ダクトやチャンバーから取り出す
- フランジカラー:フランジでつなぐ
- キャップ:端をふさぐ
名前はメーカーによって少し違い、「プレスエルボ」「セクションエルボ」「レジューサー」「ドン付ニップル」などとも呼ばれます。
ベンドのプレスとセクション
栗本鐵工所のカタログでは、75〜150φのベンドがプレスベンド、175φ以上がセクションベンドです。セクションベンドは、曲がりの大きさを1.0R・1.5R・2.0Rから選べます。公共建築工事標準仕様書では、スパイラルダクトの曲がりの内側の半径を「ダクトの半径以上」としています。
片落管(レジューサー)の角度
公共建築工事標準仕様書では、ダクトの断面を変える部分の傾きを、拡大するところは15°以下、縮小するところは30°以下としています(ダクト全般の決まり)。
差込み接合のやり方
公共建築工事標準仕様書(第3編 2.2.3.2)では、差込み接合を次のように定めています。
- 継手を直管に差し込む。
- 鋼製ビスで周りを留める。
- 継手と直管の継目の全周にシール材を塗る。
- ダクト用テープで二重に巻く。
JIS A 4009では、シール材を塗ってからビスで留める順番で書かれていて、資料によって順番の書き方が違います。どちらも「差込み・ビス・シール・テープの二重巻き」がそろうことは同じです。横浜市の施工マニュアルでは、テープは差込み長さ以上の幅になるように巻くとしています。
差込み長さ
差込み長さ(差し代)は、公共建築工事標準仕様書・JIS A 4009とも、すべての呼び径で60mm以上です。昔のJIS(1997年版)では25mm・50mm・100mmと径ごとに分かれていましたが、公共建築工事標準仕様書が平成13年版から60mm以上に揃えていたので、2017年のJIS改正でも60mm以上に合わせました。古い資料で25mmや50mmとなっているのはこのためです。
ビスの本数
| ダクトの内径 | 片側の最小本数 |
|---|---|
| 155mm以下 | 3本 |
| 155mmを超え355mm以下 | 4本 |
| 355mmを超え560mm以下 | 6本 |
| 560mmを超え800mm以下 | 8本 |
| 800mmを超え1,250mm以下 | 12本 |
公共建築工事標準仕様書の表3.2.4の値で、JIS A 4009の表20も同じです。「片側」は、継手に差し込む直管1本あたりの本数です。ニップルで直管2本をつなぐなら、両側にこの本数が要ります。決められているのは最小の本数だけで、ビスの間隔(ピッチ)の決まりはありません。
シール材とテープ
- シール材は、シリコンゴム系かニトリルゴム系で、ダクトの材料に悪い影響を与えないもの(公共建築工事標準仕様書 1.14.2.6)。
- ダクト用テープは、アルミニウムはくの片面に樹脂系の粘着剤を塗ったもの(同 1.14.2.5)。
フランジ接合
差込みのほかに、フランジでつなぐ方法もあります。フランジ用のカラーに山形鋼のフランジを付けて、ボルトで締めます。栗本鐵工所のカタログでは、フランジが回るルーズフランジ方式を「高圧用や部材交換が多いところに適した方式」としています。
| 呼び径 | 山形鋼の最小寸法 |
|---|---|
| 710以下 | 25×25×3 |
| 710を超え1,000以下 | 30×30×3 |
| 1,000を超え1,250以下 | 40×40×3 |
公共建築工事標準仕様書の表3.1.28の値です。ボルトはM8以上を100mm以下の間隔、フランジの間隔は4,000mm以下です。フランジ用カラーの差込み長さは100mm以上で、カラーの板厚はつなぐダクトより1番手厚くします。
吊りと支持
公共建築工事標準仕様書では、横に走るスパイラルダクトの吊り間隔を4,000mm以下としています。
- 呼び径750以下は、厚さ0.8mm以上の亜鉛めっき鋼板の吊りバンドと吊りボルトで吊ってもよい。
- 呼び径300以下は、厚さ0.6mmの亜鉛鉄板を帯状にしたもので吊ってもよい。その場合は要所に振れ止めを付ける。
- 吊り金物の山形鋼は、750以下が25×25×3、1,000以下が30×30×3、1,250以下が40×40×3。吊りボルトはM10または呼び径9。
一方、栗本鐵工所のカタログでは、吊りのピッチを2m以下にし、できるだけ接続部の近くで吊るよう求めています。設計図や特記仕様書、使うメーカーの指示を確かめてください。
呼び径ごとの早見表(低圧ダクト)
| 呼び径 | 直管の板厚 | 継手の板厚 | ビス(片側) |
|---|---|---|---|
| 100 | 0.5 | 0.6 | 3本 |
| 150 | 0.5 | 0.6 | 3本 |
| 200 | 0.5 | 0.6 | 4本 |
| 250 | 0.5 | 0.6 | 4本 |
| 300 | 0.5 | 0.6 | 4本 |
| 350 | 0.5 | 0.8 | 4本 |
| 400 | 0.5 | 0.8 | 6本 |
| 500 | 0.6 | 0.8 | 6本 |
| 600 | 0.6 | 0.8 | 8本 |
| 800 | 0.8 | 1.0 | 8本 |
| 1,000 | 0.8 | 1.0 | 12本 |
呼び径と板厚はmmです。公共建築工事標準仕様書の表3.1.23(直管・低圧)、表3.1.26(継手)、表3.2.4(ビス)から、呼び径ごとにまとめました。差込み長さはどの径も60mm以上です。高圧ダクトの直管の板厚はダクトの板厚で説明しています。メーカーの標準品は、この表と板厚が違うことがあるので、公共工事では仕様書の板厚を満たすものを選びます。
よくある失敗
差込みが浅い
差込み長さは60mm以上です。直管を切って長さを合わせたときは、差込み長さが残っているか確かめます。
ビスの本数が足りない
内径155mm以下でも片側3本以上です。細いダクトでも2本で済ませないようにします。
テープを一重しか巻かない
公共建築工事標準仕様書では、シール材を全周に塗ったうえで、ダクト用テープを二重に巻きます。
切り口のバリを取らない・切り方を間違える
栗本鐵工所のカタログでは、切り口のバリをやすりなどで取ること、長さの調整は高速カッター以外で切らないことを注意しています。
スパイラルダクトの継手についてよくある質問
スパイラルダクトの呼び径は内径ですか外径ですか
直管は内径です。継手は外径が基準で、呼び径より少し細く作られ、直管の内側に差し込みます。
差込み長さは何mmですか
公共建築工事標準仕様書・JIS A 4009とも、すべての径で60mm以上です。
ビスは何本打ちますか
内径155mm以下は片側3本、355mm以下は4本、560mm以下は6本、800mm以下は8本、1,250mm以下は12本が最小です。
アルミテープと布テープはどちらを使いますか
公共建築工事標準仕様書の「ダクト用テープ」は、アルミニウムはくの片面に粘着剤を塗ったものです。
吊り間隔は何mですか
公共建築工事標準仕様書では4,000mm以下です。メーカーによっては2m以下を求めているので、使う製品の指示も確かめます。









