筋交いの入れ方寸法・倍率・端部の金物と間柱の納まり
筋交い(筋かい)は、柱と土台・桁などの横架材でできた四角い枠に斜めに入れて、地震や風の横からの力に抵抗させる部材です。入れ方には、使う木材の寸法、端部の金物、欠き込みの禁止、建物全体での配置など、建築基準法で決まっていることが多くあります。この記事では、建築基準法施行令第45条と告示の内容をもとに、筋交いの寸法と倍率、端部の留め方、間柱との納まり、配置の考え方をまとめます。2025年4月の法改正で変わった点にも触れます。
筋交いの入れ方の基本
- 筋交いは、柱と横架材(土台・桁・胴差しなど)で囲まれた枠の、対角の仕口から仕口へ斜めに入れます。
- 1本だけ入れるものを片筋交い、2本を交差させるものをたすき掛けと呼びます。
- 両端は金物で柱や横架材に緊結します。
- 筋交いには欠き込みをしません。間柱と交差する部分は、間柱のほうを欠き取って筋交いを通します。
筋交いの寸法(施行令第45条)
| 筋交いが負担する力 | 使える材料 |
|---|---|
| 引張力を負担する筋交い | 厚さ1.5cm以上・幅9cm以上の木材、または径9mm以上の鉄筋 |
| 圧縮力を負担する筋交い | 厚さ3cm以上・幅9cm以上の木材 |
このほか、国土交通大臣が定めたものや認定を受けたものも使えます。住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書(平成22年版)では、木造の筋交いの断面寸法は30mm×90mm以上とされています。
筋交いの倍率
| 筋交いの種類 | 片筋交い | たすき掛け |
|---|---|---|
| 厚さ1.5cm以上×幅9cm以上の木材、径9mm以上の鉄筋 | 1 | 2 |
| 厚さ3cm以上×幅9cm以上の木材 | 1.5 | 3 |
| 厚さ4.5cm以上×幅9cm以上の木材 | 2 | 4 |
| 9cm角以上の木材 | 3 | 5 |
倍率は、その壁がどれだけ横からの力に抵抗できるかを表す数字です。この表は、以前は施行令第46条の表にありましたが、2025年4月1日の改正で告示(昭和56年建設省告示第1100号の別表第1)に移りました。数値は改正前と同じです。
2025年4月の改正で変わった点
- 面材や筋交いを組み合わせたときの倍率の上限が、5倍から7倍に引き上げられました。9cm角以上の筋交いのたすき掛けは、これまでどおり5倍です。
- 筋交いを入れた軸組の高さ(横架材の上端の間)が3.2mを超える場合は、倍率に低減の係数を掛けます。
- 必要な壁の量(必要壁量)の求め方も見直されました。
2025年3月までに着工した建物は改正前の基準です。また、2026年3月31日までに着工した一部の小規模な建物には、改正前の基準を使える経過措置がありました。そのため、実際の設計は最新の告示と国土交通省の資料で確かめてください。
筋交いの端部の留め方(金物)
施行令第45条では、筋交いの両端を柱や横架材に、ボルト・かすがい・くぎなどの金物で緊結することとされています。接合の方法は、平成12年建設省告示第1460号で筋交いの種類ごとに決められています(2025年4月施行の改正でも、この部分は変わっていません)。
| 筋交いの種類 | 接合の方法(要旨) |
|---|---|
| 径9mm以上の鉄筋 | 柱または横架材を貫通させ、三角座金を入れてナット締め など |
| 1.5cm×9cm以上の木材 | 柱と横架材を欠き込み、長さ6.5cmの鉄丸くぎを、柱と横架材にそれぞれ5本平打ち |
| 3cm×9cm以上の木材 | 厚さ1.6mmの鋼板添え板を、筋交いに径12mmのボルト締めと長さ6.5cmの太め鉄丸くぎ3本、柱に同じくぎ3本、横架材に同じくぎ4本 |
| 4.5cm×9cm以上の木材 | 厚さ2.3mm以上の鋼板添え板を、筋交いに径12mmのボルト締めと長さ50mm・径4.5mmのスクリューくぎ7本、柱と横架材にそれぞれ同じくぎ5本 |
| 9cm×9cm以上の木材 | 柱または横架材に、径12mmのボルトを使った一面せん断接合 |
「これらと同等以上の引張耐力がある接合方法」も使えるので、実際には、この性能を確かめた市販の筋交いプレートがよく使われます。使うときは、メーカーが指定するくぎ・ビスの種類と本数を守ります。
住宅金融支援機構の仕様書(平成22年版)の図では、30×90mmの筋交いには厚さ1.6mmの筋交いプレート「BP」、45×90mmには厚さ2.3mmの「BP-2」を使う例が示されています。
端部はどこに留めるか
2025年4月の改正で、施行令第45条の条文は「両端を緊結し、そのうち少なくとも一方は柱と横架材の仕口の部分で緊結する」という書き方に変わりました。ただし、告示の表にある通常の筋交いの壁は、これまでどおり両端とも仕口(またはその周辺)で緊結する必要があるとされています。
筋交いと間柱の納まり
施行令第45条では、筋交いには欠き込みをしてはならないとされています(たすき掛けでやむを得ず、必要な補強をした場合を除く)。そのため、筋交いと間柱が交差するところでは、一般に間柱を筋交いの厚さの分だけ欠き取って筋交いを通します。
たすき掛けの交差部
たすき掛けでは2本の筋交いが交差します。施行令第45条では、たすき掛けでやむを得ず筋交いを欠き込む場合は、必要な補強をすることとされています。住宅金融支援機構の仕様書(平成22年版)では、90×90mm以上の筋交いの交差部は、一方を通し、もう一方を筋交いに当たる所でかたぎ大入れにします。それぞれ12mmのボルトで締め、両面からひら金物をくぎ打ちします。それ以外の交差部の納め方は、設計図書や使う金物のメーカーの仕様に従います。
筋交いの配置の考え方
- 筋交いの向きは、同じ通りの壁の中で、向きが片方だけに偏らないようにします。力が左右どちら向きにかかっても抵抗できるように、向きを変えた筋交いを組み合わせるのが一般的です(ハの字・逆ハの字など)。
- 建物全体で、耐力壁が片側に偏らないように配置します。建物の端の部分(側端部分)の壁の量のつり合いを確かめる方法(いわゆる四分割法)は、以前は平成12年建設省告示第1352号で決められていました。2025年4月からは、この告示は廃止され、昭和56年建設省告示第1100号の第4に移っています。
- 窓や出入り口がある場所には筋交いを入れにくいので、間取りを決める段階で耐力壁の位置を考えておきます。
筋交いについてよくある質問
筋交いの寸法は何mmですか
圧縮力を負担する木材の筋交いは、厚さ3cm以上・幅9cm以上です。住宅では30×90mmや45×90mmがよく使われます。
筋交い45×90の倍率は
片筋交いで2、たすき掛けで4です。
筋交いを欠き込んでもいいですか
施行令第45条で、筋交いには欠き込みをしてはならないとされています。たすき掛けでやむを得ない場合は、必要な補強をすれば認められます。
筋交いと構造用合板はどちらが強いですか
倍率で比べます。構造用合板の壁の倍率は告示で決められていて、使う厚さやくぎの打ち方で変わります。筋交いと面材を併用すると、それぞれの倍率を足すことができます(上限あり)。









