溶接棒の種類E4319・E4316など記号の読み方と電流・乾燥の目安
被覆アーク溶接棒は、心線のまわりの被覆剤(フラックス)の種類によって、溶接のしやすさ、溶け込み、割れにくさが変わります。JIS Z 3211では「E4319」のような記号で種類を表し、最後の2けたが被覆剤の系統を示します。この記事では、記号の読み方、代表的な被覆剤の系統と特徴、棒径ごとの電流の目安、溶接棒の乾燥のしかたをまとめます。電流や乾燥の条件は銘柄ごとに違うので、使う溶接棒のカタログや箱の表示を必ず確かめてください。
溶接棒の記号の読み方(JIS Z 3211)
「E4319」の意味
| 部分 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| E | E | 被覆アーク溶接棒 |
| 引張強さの記号 | 43 | 溶着金属の引張強さが430MPa以上(49なら490MPa以上) |
| 被覆剤の種類の記号 | 19 | イルミナイト系 |
このあとに、化学成分や熱処理の記号、衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であることを示す記号(U)、水素量(H5など)の記号が続くことがあります。
被覆剤の系統と特徴
| 記号 | 系統 | 溶接姿勢 | 特徴と主な用途 |
|---|---|---|---|
| 03 | ライムチタニヤ系 | 全姿勢 | 車両・軽量鉄骨・建築などに使われる |
| 13 | 高酸化チタン系 | 全姿勢 | 薄板や立向下進に使いやすい銘柄が多い |
| 16 | 低水素系 | 全姿勢 | 溶接金属の水素が少なく、割れにくい。490MPa級の鋼や、造船・橋梁・建築・圧力容器などに使われる |
| 19 | イルミナイト系 | 全姿勢 | 造船・建築・機械などの一般の溶接に広く使われる |
| 40 | 特殊系 | メーカーの推奨による | 亜鉛めっき鋼板用など、特定の用途向け |
系統の特徴や用途は、神戸製鋼(KOBELCO)の総合カタログの説明をもとにしています。同じ系統でも、銘柄によって得意な姿勢や用途が違います。
棒径ごとの電流の目安
電流の適正範囲は、溶接棒の銘柄・棒径・溶接姿勢で決まっています。次の表は、神戸製鋼の総合カタログに載っている代表的な銘柄の推奨電流(下向)の例です。
| 棒径(mm) | B-17(E4319、イルミナイト系) | LB-52(E4916、低水素系) | RB-26(E4313、高酸化チタン系) |
|---|---|---|---|
| 2.6 | 50〜85A | 55〜85A | 45〜95A |
| 3.2 | 80〜130A | 90〜130A | 60〜125A |
| 4.0 | 120〜180A | 130〜180A | 105〜170A |
| 5.0 | 170〜250A | 180〜240A | 150〜220A |
立向・上向は、下向より低い電流の範囲になる銘柄が多くあります。ただし、RB-26の2.6mm・3.2mmのように、立向・上向も下向と同じ範囲の銘柄もあります。電流が高すぎるとアンダーカットやスパッタが増え、低すぎると溶け込み不足やスラグ巻込みの原因になります。
溶接棒の乾燥(吸湿した溶接棒は使わない)
被覆剤が湿気を吸うと、ブローホールやピット、割れの原因になります。メーカーのカタログの乾燥条件の例です。
| 系統 | 乾燥の条件(例) |
|---|---|
| イルミナイト系、ライムチタニヤ系、高酸化チタン系、特殊系 | 70〜100℃で30〜60分 |
| 低水素系 | 300〜350℃で30〜60分 |
- 低水素系は、乾燥後に保温庫(100〜150℃)に入れて、少しずつ取り出して使います。
- 棒の持ち出しは、多くても半日で使い切る量にとどめます(神戸製鋼の総合カタログ)。
- 非低水素系は、乾燥しすぎると溶け込みが減ったり、棒焼けの原因になったりすることがあります。
- 銘柄によって乾燥温度が違う場合があるので、箱やカタログの表示に従います。
溶接棒の選び方のポイント
- 母材の強度に合った引張強さの溶接棒を選びます(軟鋼なら43、490MPa級の鋼なら49など)。
- 割れを避けたい490MPa級の鋼などには、低水素系が使われます。
- 薄板や立向下進には、高酸化チタン系が使いやすいとされています。
- 亜鉛めっき鋼板には、めっき鋼板用の銘柄があります。
- 工事の仕様書で溶接材料が指定されている場合は、それに従います。
- 建築鉄骨では、国の告示(平成12年建設省告示第1464号)で溶接材料の性能が決められています。400N級の炭素鋼には降伏点(または0.2%耐力)235N/mm²以上・引張強さ400N/mm²以上、490N級には325N/mm²以上・490N/mm²以上の溶着金属が必要です。
溶接棒の種類についてよくある質問
E4316とE4916の違いは
どちらも低水素系ですが、E4316は溶着金属の引張強さが430MPa以上、E4916は490MPa以上です。
低水素系の溶接棒はなぜ乾燥が必要ですか
湿気を吸うと溶接金属の水素が増え、低温割れやブローホールの原因になるためです。
溶接棒の電流はどうやって決めますか
銘柄と棒径ごとにメーカーが示す推奨電流の範囲の中で、板厚や溶接姿勢に合わせて調整します。









