溶接の資格の種類アーク溶接特別教育・ガス溶接技能講習・JIS技能者
溶接の資格には、法律で「この業務には必要」と決められているもの(アーク溶接等の特別教育、ガス溶接技能講習)と、溶接の腕前を証明するもの(JIS溶接技能者など)があります。名前が似ていて混同しやすいので、この記事では、それぞれの資格の違い、根拠になる法令、講習の時間、JIS溶接技能者の記号「A-2F」の読み方をまとめます。講習や試験の日程・受け方は、実施機関の最新の案内を確かめてください。
溶接の資格の種類と違い
| 資格 | 性格 | 必要になる場面 |
|---|---|---|
| アーク溶接等の特別教育 | 法令で決められた安全のための教育 | アーク溶接機を使う溶接・溶断などの業務につくとき |
| ガス溶接技能講習 | 法令で決められた技能講習(修了試験あり) | 可燃性ガスと酸素を使う溶接・溶断・加熱の業務につくとき |
| JIS溶接技能者(手溶接・半自動溶接など) | 溶接の技量を証明する資格(日本溶接協会が認証) | 建築鉄骨や橋梁などで、発注者や仕様書から求められるとき |
特別教育と技能講習は「その業務をしてよい」ための資格、JIS溶接技能者は「一定の品質で溶接できる腕がある」ことを示す資格、と考えると分かりやすくなります。
アーク溶接等の特別教育
根拠と対象の業務
労働安全衛生規則第36条第3号で、アーク溶接機を用いて行う金属の溶接・溶断などの業務は、特別教育が必要な業務とされています。事業者は、この業務につかせる労働者に特別教育を行わなければなりません。
教育の時間
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | アーク溶接等に関する知識 | 1時間以上 |
| アーク溶接装置に関する基礎知識 | 3時間以上 | |
| アーク溶接等の作業の方法に関する知識 | 6時間以上 | |
| 関係法令 | 1時間以上 | |
| 実技 | アーク溶接装置の取扱いとアーク溶接等の作業の方法 | 10時間以上 |
学科は合計11時間以上、実技は10時間以上です(安全衛生特別教育規程)。特別教育は事業者が自ら行ってもよく、外部の講習機関が開く講習を受けることもできます。
ガス溶接技能講習
根拠と対象の業務
可燃性ガスと酸素を用いて行う金属の溶接・溶断・加熱の業務は、労働安全衛生法施行令第20条第10号で「就業制限業務」とされていて、ガス溶接技能講習を修了した人などでなければ行えません。
講習の時間
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 設備の構造と取扱いの方法に関する知識 | 4時間 |
| 可燃性ガスと酸素に関する知識 | 3時間 | |
| 関係法令 | 1時間 | |
| 実技 | 設備の取扱い | 5時間 |
講習の最後に、学科の修了試験があります(ガス溶接技能講習規程)。技能講習は、都道府県労働局に登録した教習機関が行います。
JIS溶接技能者(手溶接・半自動溶接)
資格の記号の読み方
JIS Z 3801(手溶接)やJIS Z 3841(半自動溶接)の技能者の資格は、「A-2F」のような記号で表します。
| 位置 | 記号と意味 |
|---|---|
| 最初の文字(溶接方法) | A:被覆アーク・裏当て金あり、N:被覆アーク・裏当て金なし、T:ティグ、C:組合せ溶接、G:ガス溶接。半自動は頭にSを付けてSA・SN・SC・SSなど |
| 数字(板の厚さ) | 1:薄板(板厚3.2mm)・薄肉管、2:中板(板厚9.0mm)・中肉管、3:厚板(板厚19.0mm)・厚肉管 |
| 最後の文字(溶接姿勢) | F:下向、V:立向、H:横向、O:上向、P:管の水平・鉛直固定 |
たとえば「A-2F」は、被覆アーク溶接・裏当て金あり・中板(9.0mm)・下向の資格、「SN-2V」は、半自動(マグ)溶接・裏当て金なし・中板・立向の資格です。
基本級と専門級
下向(F)が基本級、立向・横向・上向・管(V・H・O・P)が専門級です。日本溶接協会の案内では、基本級は1か月以上溶接技術を習得した15歳以上、専門級は3か月以上習得して対応する基本級を持っていること(同時受験も可)が受験の条件です。初めて受ける人は学科試験もあり、実技試験は外観試験と曲げ試験で評価されます。
資格の有効期間と更新
日本溶接協会の案内では、適格性証明書の有効期間は1年です。有効期間が切れる前3か月以内にサーベイランスを申請すると、さらに1年有効になります(サーベイランスは2回)。登録から3年たって続けるときは、有効期間が切れる前8か月から2か月の間に再評価を受けます。
溶接の資格についてよくある質問
アーク溶接をするのに資格は必要ですか
事業者に雇われてアーク溶接機を使う業務につくには、アーク溶接等の特別教育を受ける必要があります。教育を行う義務は事業者にあります。
アーク溶接の特別教育は何時間ですか
学科11時間以上、実技10時間以上です。
ガス溶接と特別教育の違いは
ガス溶接は就業制限業務で、登録教習機関の技能講習(修了試験あり)を修了する必要があります。アーク溶接は特別教育で、事業者が行う教育でもかまいません。
JIS溶接技能者がないと溶接できませんか
法令で一律に必要とされる資格ではありませんが、建築鉄骨などでは、仕様書や発注者から、作業に合ったJIS溶接技能者の資格を求められることが多くあります。
ボイラーや圧力容器の溶接には免許が必要ですか
ボイラーや第一種圧力容器の溶接は、労働安全衛生法施行令第20条第4号で就業制限業務とされていて、特別ボイラー溶接士または普通ボイラー溶接士の免許が必要です。普通ボイラー溶接士ができるのは、溶接部の厚さ25mm以下の場合や、管台・フランジなどを取り付ける溶接です。









