ダクトの拡大・縮小の角度15°・30°から変形部の長さを出す計算と早見表
ダクトのサイズを途中で変えるときは、板の傾きを決まった角度より緩くします。公共建築工事標準仕様書では、広げる所(拡大部)は15°以下、せばめる所(縮小部)は30°以下です。この記事では、その角度から変形部(レジューサー)に必要な長さを出す式、角ダクトとスパイラルダクトの計算例、片側のずれごとの早見表、長さが取れないときの確かめ方をまとめます。
ダクトの拡大・縮小の角度の決まり
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(修補版)の1.14.1(6)には、次のように書かれています。
- ダクトの断面を変形させるときの傾斜角度は、拡大部は15°以下、縮小部は30°以下
- ダクトの途中にコイル、フィルター等がある場合は、拡大部は30°以下、縮小部は45°以下
- やむを得ず傾斜角度を超える場合は、ダクト内部に整流板を設ける
同じ節の(4)には、ダクトは空気の通風抵抗、漏れ量、騒音及び振動が少ない構造とする、とあります。急に広げたりせばめたりせず、少しずつ形を変える(漸大・漸小)のはこのためです。民間の工事では、設計図・特記仕様書に別の指定があればそちらに従います。
拡大と縮小で角度が違う理由
一般に、広げる側は流れが板から離れやすく、抵抗や騒音のもとになります。そのため、せばめる側(30°)より広げる側(15°)の角度を小さくしています。広げる所のほうが長い変形部が必要になる、と覚えておくと間違えません。
傾斜角度の取り方と長さの計算式
この記事では、傾斜角度を「ダクトの軸(空気が流れる向き)に対して、側面の板が傾く角度」として計算します。片側の板が横にずれる量を「片側のずれ」とすると、変形部の長さは次の式で出ます。
- 必要な長さ ≧ 片側のずれ ÷ tanθ
- 15°のとき:片側のずれ×3.732
- 30°のとき:片側のずれ×1.732
- 45°のとき:片側のずれ×1.000
同心(両側に広げる)とき
両側の板が同じだけ開くので、片側のずれは「大きい寸法−小さい寸法」の半分です。幅400から600なら、片側のずれは100です。
片寄せ(片側をそろえる)とき
天井に天端をそろえる、壁に片側を寄せるなど、片側の板をまっすぐ通すと、反対側の板だけで寸法差の全部を受けます。片側のずれは「大きい寸法−小さい寸法」で、同心の2倍になります。
幅と高さが両方変わるとき
角ダクトは、幅の側と高さの側で別々に計算し、長いほうを変形部の長さにします。短いほうの面は、角度に余裕がある状態になります。
ダクトの拡大・縮小の計算例
角ダクト400×300を600×400に広げる
同心で広げる場合です。
- 幅の側:片側のずれ=(600−400)÷2=100、100×3.732=373.2mm
- 高さの側:片側のずれ=(400−300)÷2=50、50×3.732=186.6mm
- 変形部の長さ:長いほうの373.2mm以上(切りのよい400mmなど)
幅の側を片寄せにすると、片側のずれは200になり、200×3.732=746.4mm以上が必要です。片寄せにするかどうかで、必要な長さが倍変わります。
同じ寸法を縮小するとき
600×400から400×300にせばめる場合は30°以下なので、同心で100×1.732=173.2mm以上です。広げる場合の半分以下の長さで済みます。
スパイラルダクトφ300からφ200
丸いダクトの同心の変形部では、片側のずれは直径の差の半分です。(300−200)÷2=50なので、縮小は50×1.732=86.6mm以上、拡大は50×3.732=186.6mm以上です。
早見表:片側のずれと変形部の最小の長さ
| 片側のずれ | 15° | 30° | 45° |
|---|---|---|---|
| 25 | 93.3 | 43.3 | 25.0 |
| 50 | 186.6 | 86.6 | 50.0 |
| 75 | 279.9 | 129.9 | 75.0 |
| 100 | 373.2 | 173.2 | 100.0 |
| 150 | 559.8 | 259.8 | 150.0 |
| 200 | 746.4 | 346.4 | 200.0 |
| 250 | 933.0 | 433.0 | 250.0 |
| 300 | 1119.6 | 519.6 | 300.0 |
単位はmmです(展開図ラボの計算)。15°は一般の拡大部、30°は一般の縮小部とコイル・フィルター等がある場合の拡大部、45°はコイル・フィルター等がある場合の縮小部です。
長さが足りないときの確かめ方
天井内の納まりで変形部の長さが先に決まっているときは、角度を逆に計算して確かめます。
- 角度=arctan(片側のずれ÷変形部の長さ)
例えば、長さ300mmで幅400を600に広げると、同心ではarctan(100÷300)=18.4°で、15°を超えます。片寄せではarctan(200÷300)=33.7°です。このようなときは、次の順に見直します。
- 片寄せを同心に変えられないか(片側のずれが半分になる)
- 変形部の位置をずらして、長さを取れる場所に移せないか
- 幅と高さの変え方を見直して、片側のずれを小さくできないか
仕様書の整流板の文は、コイル・フィルター等がある場合の文の中に書かれています。それ以外の部分で角度が守れないときは、施工図の段階で設計者・監督員と打ち合わせて決めてください。
変形部の板を展開するには
角ダクトの変形部は、四角いホッパーと同じ角錐台の形です。上と下の寸法と、変形部の長さを高さとして入れれば、各面の展開図と稜線の実長が出ます。片寄せは「偏心」に片側のずれの差を入れます(幅400→600で片側をそろえるなら偏心100)。
丸から丸のレジューサーは円錐台、角から丸に変える部分は角丸の展開図になります。
ダクトの拡大・縮小のよくある質問
ダクトの拡大は何度以下ですか
公共建築工事標準仕様書では、拡大部は15°以下、縮小部は30°以下です。途中にコイル、フィルター等がある場合は、拡大部30°以下、縮小部45°以下です。
角度は片側で測りますか、両側の合計ですか
この記事では、軸に対する片側の板の傾きとして計算しています。図面に別の取り方で角度が書かれているときは、図面の指定に合わせてください。
丸いダクトでも同じ角度ですか
仕様書の文は「ダクトの断面を変形させるとき」なので、丸いダクトの変形部にも同じ角度で考えます。片側のずれは直径の差の半分です。
拡大で15°を守るとどれくらいの長さになりますか
片側のずれの約3.73倍です。片側100mmなら373.2mm、200mmなら746.4mm以上になります。









