火打梁の長さと墨付け取付け寸法750からの計算と早見表
火打梁(ひうちばり)は、梁や桁が直角に交わる隅に45度で入れる部材です。長さは、取付け位置と梁の幅、火打の幅の3つで決まります。この記事では、芯・長い面・短い面の長さを出す式、105角の梁に90角の火打を750mmで入れる計算例、取付け寸法ごとの早見表、留めの墨と傾ぎ大入れ(かたぎおおいれ)の分の伸ばし方、よくある失敗をまとめます。
火打梁の長さを決める3つの寸法
火打梁の長さは、次の3つの寸法から計算します。
- 取付け寸法:梁の芯の交点から、火打を取り付ける位置までの長さ
- 梁(横架材)の幅:105角なら105mm、120角なら120mm
- 火打の幅:90角なら90mm、105角なら105mm
日本住宅・木材技術センターの木造住宅用標準納まり図(床組の納まり)では、木製火打は90×90mmで、梁の芯から取付け位置までの寸法に「フラット35仕様:750mm標準」と書かれています。同じ図の火打金物(Zマーク)は700mmです。官庁営繕の公共建築木造工事標準仕様書では、木製の火打梁の樹種・断面寸法・仕口の形状は特記(図面の指定)によるとされています。寸法は図面とプレカット図を先に確かめてください。
火打梁の長さの計算式
この記事では、取付け寸法を「梁の芯の交点から、火打の芯が梁の内側の面に当たる点まで」とします(上の図の赤い点)。取付け寸法をP、梁の幅をB、火打の幅をbとすると、梁の面から面までの長さ(胴付きから胴付きまで)は次の式で出ます。
- 入隅からの長さ q=P−B÷2
- 芯の長さ=q×√2(約1.414)
- 長い面(部屋側)=芯の長さ+b
- 短い面(入隅側)=芯の長さ−b
火打の端は梁の面に沿って45度に切るので、火打の幅bの材では、端で長い面と短い面がbずつずれます。両端で合わせて、長い面と短い面の差は2bになります。
梁芯どうしの寸法のとき
取付け寸法が「梁の芯の交点から、火打の芯が梁の芯と交わる点まで」で書かれている図面もあります。このときは、q=その寸法−B で計算します。どちらの点までの寸法かで、芯の長さが約74mm(105角の梁で52.5×√2)変わります。
計算例:105角の梁に90角の火打を750mmで入れる
- q=750−105÷2=697.5
- 芯の長さ=697.5×1.41421=986.4mm
- 長い面=986.4+90=1076.4mm
- 短い面=986.4−90=896.4mm
梁の内側の面から面までの長さなので、仕口で梁に差し込む分は、このあとで足します(下の「傾ぎ大入れの分の伸ばし方」)。
早見表:火打梁の長さ(梁の面から面まで)
梁105角・火打90角のときです。
| 取付け寸法 | 芯 | 長い面 | 短い面 |
|---|---|---|---|
| 700 | 915.7 | 1005.7 | 825.7 |
| 750 | 986.4 | 1076.4 | 896.4 |
| 800 | 1057.1 | 1147.1 | 967.1 |
| 900 | 1198.5 | 1288.5 | 1108.5 |
梁120角・火打105角のときです。
| 取付け寸法 | 芯 | 長い面 | 短い面 |
|---|---|---|---|
| 700 | 905.1 | 1010.1 | 800.1 |
| 750 | 975.8 | 1080.8 | 870.8 |
| 800 | 1046.5 | 1151.5 | 941.5 |
| 900 | 1187.9 | 1292.9 | 1082.9 |
単位はmmです(展開図ラボの計算)。取付け寸法は梁の芯から、火打の芯が梁の内側の面に当たる点までです。
火打梁の墨付けの手順
- 火打材の上面に芯墨を引く
- 芯墨の上に、芯の長さ(750・105角・90角なら986.4)の印を両端に付ける
- 印を通る45度の線(留めの墨)を引く。さしがねの長手と妻手を同じ目盛で材の縁に当てると45度になる
- 長い面と短い面の長さを測り、計算と合っているか確かめる(差は火打の幅の2倍)
- 仕口の分(傾ぎ大入れなど)を伸ばして、刻みの墨を引く
中央工学校の木造建築科の実習紹介でも、火打は長さを取り、留め(45度)で墨を引いてから、傾ぎ大入れの分だけ伸ばして仕口を造る、という順番で説明されています。
裏目を使うと√2の計算がいらない
さしがねの裏目(角目)は表目の√2倍の目盛です。芯の長さは q×√2 なので、裏目でqを測れば、そのまま芯の長さになります。750・105角なら、裏目で697.5を測ると986.4です。
傾ぎ大入れの分の伸ばし方
傾ぎ大入れは、一方の材の端の片方(三角形の部分)を相手の材に差し込む仕口です(中央工学校の説明)。火打では、端の片側の角だけが梁に入り込みます。標準納まり図の木製火打も、端が梁に少し入り込み、六角ボルトで留める形で描かれています。
梁の面から深さeまで差し込む角は、梁の面に対して45度の向きに進むので、火打の面に沿っては e×√2 だけ先になります。
- 深さ15mmなら、15×1.414=21.2mm伸ばす
- 深さ20mmなら、20×1.414=28.3mm伸ばす
大入れの深さや三角形の形は、図面・プレカット工場の仕様・会社のやり方で違います。決まった値はないので、梁側の彫り込みと同じ寸法で両方に墨を付けます。
火打梁の法令の決まり
建築基準法施行令第46条第3項は、床組と小屋ばり組に「木板その他これに類するもの」を国土交通大臣が定める基準に従って打ち付けることを求めています。その基準(平成28年国土交通省告示第691号)の一つ目が「床組及び小屋ばり組の隅角に火打ち材を使用すること」です。二つ目は、条件を満たす床組などで、厚さ30mm以上・幅180mm以上の板材を根太などに打ち付ける方法です。火打を入れる場所と数は、構造図に従います。
以前の条文は「隅角には火打材を使用し」と直接書かれていましたが、今は告示の基準を選ぶ形です。古い条文の説明をそのまま引いている解説もあるので、条文は国土交通省やe-Govの原文で確かめてください。
火打梁の長さでよくある失敗
取付け寸法にそのまま√2を掛ける
750×1.414=1060.7は、梁の芯の上で750の点どうしを結んだ長さで、梁の面から面までの長さではありません。梁の幅の分を引いてから√2を掛けます。
どの点までの寸法か確かめない
取付け寸法が「火打の芯が梁の内側の面に当たる点まで」か「梁の芯と交わる点まで」かで、105角の梁では芯の長さが約74mm違います。図面の寸法線の端がどこにあるかを見てから計算します。
長い面と短い面を取り違える
長い面(部屋側)と短い面(入隅側)は火打の幅の2倍違います。材の上面に「入隅側」と書いてから墨を付けると取り違えません。
軸組の直角を確かめずに長さを決める
中央工学校の実習紹介でも、軸組の歪みを確かめ、矩(直角)の状態にしてから火打を納めるとされています。梁が直角に組まれていないと、計算どおりの長さでもすき間ができます。直角の確かめ方は大矩の作り方と直角の出し方を参照してください。
火打梁の長さについてよくある質問
火打梁の取付け位置は何mmが標準ですか
日本住宅・木材技術センターの標準納まり図では、木製火打は梁の芯から750mm(フラット35仕様)、火打金物は700mmで描かれています。実際の位置は構造図・プレカット図に従います。
105角の梁に90角の火打を750mmで入れると長さは
梁の面から面までで、芯986.4mm、長い面1076.4mm、短い面896.4mmです。仕口で差し込む分は別に足します。
火打梁の太さは
標準納まり図の木製火打は90×90mmです。見せる火打では105角を使うこともあります。断面は図面の指定に従います。
火打は45度で入れるものですか
隅に左右同じ寸法で入れると45度になり、両端の墨が同じになります。左右の寸法が違う火打は、端の角度が両端で変わるので、この記事の式は使えません。









