スロープの勾配の基準1/12・1/15の意味と必要な長さの計算
スロープ(傾斜路)の勾配は、建築基準法とバリアフリー法でそれぞれ基準があります。よく聞く「1/12」はバリアフリー法の基準で、高さ1mを上るには水平に12m必要という意味です。この記事では、法令と国土交通省の基準にもとづいて、スロープの勾配・幅・踊場・手すりの基準と、高さから必要な長さを出す計算をまとめます。どの基準が適用されるかは建物の用途や規模、自治体の条例で変わるので、実際の設計では確認検査機関や特定行政庁に確かめてください。
スロープの勾配の基準の一覧
| 基準 | 勾配 | 対象 |
|---|---|---|
| 建築基準法施行令第26条 | 1/8以下 | 階段に代わる傾斜路 |
| バリアフリー法 移動等円滑化基準 | 1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下) | 床面積2,000m²以上の特別特定建築物など |
| バリアフリー法 誘導基準(屋内) | 1/12以下 | より高い水準を目指す建物 |
| バリアフリー法 誘導基準(屋外) | 1/15以下 | より高い水準を目指す建物の敷地内通路 |
移動等円滑化基準の対象は、病院・店舗・ホテルなど不特定多数の人が使う特別特定建築物で、床面積2,000m²以上(公衆便所は50m²以上)のものです。自治体の条例で、対象の建物を広げていることがあります。
建築基準法のスロープの勾配
建築基準法施行令第26条では、階段に代わる傾斜路の勾配を1/8以下とし、表面を粗面にするか、すべりにくい材料で仕上げることが決められています。1/8は、水平に8進んで1上がる勾配で、角度にすると約7.1°です。
バリアフリー法のスロープの基準
移動等円滑化基準(守らなければならない基準)
勾配・幅・踊場の基準は、道から利用する部屋までなどの「移動等円滑化経路」になる傾斜路にかかります。それ以外の傾斜路には、手すりや表面の仕上げなどの基準がかかります。
- 勾配:1/12以下。高さが16cm以下のものは1/8以下
- 幅:階段に代わるものは120cm以上、階段と並べて設けるものは90cm以上
- 踊場:高さが75cmを超えるものは、高さ75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊場
- 手すり:勾配が1/12を超える、または高さが16cmを超える傾斜路に設ける
移動等円滑化経路になる敷地内の通路の傾斜路も、勾配1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下)、幅120cm以上(段に並べるものは90cm以上)です。踊場は、高さ75cmを超え、かつ勾配が1/20を超えるものに必要です。
誘導基準(より高い水準)
- 屋内:勾配1/12以下、幅は階段に代わるもの150cm以上・並べるもの120cm以上、高さ75cmを超えるものは75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊場、高さ16cmを超えるものは両側に手すり
- 屋外(敷地内の通路):勾配1/15以下、幅は屋内と同じ、高さ75cmを超え勾配1/20を超えるものに踊場、高さ16cmを超え勾配1/20を超えるものは両側に手すり
高さから必要なスロープの長さを出す
長さ = 高さ × 勾配の分母
勾配1/12のスロープの水平の長さは、高さの12倍です。高さ300mmなら 300 × 12 = 3,600mm です。
| 上る高さ(mm) | 1/8の長さ(mm) | 1/12の長さ(mm) | 1/15の長さ(mm) |
|---|---|---|---|
| 160 | 1,280 | 1,920 | 2,400 |
| 300 | ― | 3,600 | 4,500 |
| 450 | ― | 5,400 | 6,750 |
| 600 | ― | 7,200 | 9,000 |
| 750 | ― | 9,000 | 11,250 |
1/8の欄は、移動等円滑化基準で1/8が使える高さ16cm以下の場合だけを載せています。長さはスロープの部分だけの水平距離で、踊場の長さは入っていません。
踊場を入れた長さの例
高さ1,000mmを勾配1/12で上ると、スロープ部分は 1,000 × 12 = 12,000mm です。高さ75cmごとに踊場が必要なので、途中に踏幅1,500mmの踊場を1か所入れると、全体の水平の長さは約13,500mmになります。
勾配の表し方の換算
| 分数 | パーセント | 角度 |
|---|---|---|
| 1/8 | 12.5% | 約7.13° |
| 1/12 | 約8.33% | 約4.76° |
| 1/15 | 約6.67% | 約3.81° |
| 1/20 | 5% | 約2.86° |
寸勾配やほかの角度への換算は、勾配の換算ツールで確かめられます。
スロープの基準についてよくある質問
車椅子用のスロープの勾配は
バリアフリー法の移動等円滑化基準では1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下)、屋外の誘導基準では1/15以下です。
高さ50cmのスロープには何mの長さが必要ですか
1/12なら 500 × 12 = 6,000mm(6m)、1/15なら7,500mm(7.5m)です。
住宅のスロープにも基準はありますか
一般的な戸建て住宅は、バリアフリー法の移動等円滑化基準の対象ではありません。ただし、階段に代わる傾斜路には建築基準法の1/8以下が適用されます。階段の手すりの規定も準用されるので、高さ1mを超える部分には手すりが必要です。住宅性能表示では、共用廊下の傾斜路について等級ごとの基準があります。
踊場はどこに必要ですか
移動等円滑化基準では、高さ75cmを超えるスロープに、高さ75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊場が必要です。









