球・ドームの展開図の書き方舟形と輪切りの計算式
球の表面は、そのままでは平らな板に開けません。板でドームや球を作るときは、縦に割る「舟形」か、横の帯に分ける「輪切り」で近似して展開します。この記事では、2つの方法の計算式と、直径600mmの半球の計算例を説明します。
2つの展開方法
- 舟形:地球儀の貼り紙のように、縦に細長い同じ形の板を並べます。板の枚数が多いほど丸くなります。
- 輪切り:横の帯に分け、それぞれを円錐台として扇形に展開します。帯の境目に角ができますが、1枚ずつは曲げやすい形です。
舟形の幅の計算式
球の半径をR、分割数をn、赤道からの角度をφとすると、その位置での舟形の幅は次の式で出ます。舟形の長さ方向は、球の表面に沿った長さ(R × φ)で並べます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 舟形の幅 | 2 × π × R × cos φ ÷ n |
| 半球の舟形の長さ | π × R ÷ 2 |
計算例:直径600mmの半球を8枚の舟形で作る
半径300mm、8枚の場合、舟形の長さは471.2mm、いちばん広い底の幅は235.6mmです。底からの距離ごとの幅は次のとおりです。
| 底からの距離(mm) | 幅(mm) |
|---|---|
| 0 | 235.6 |
| 47.1 | 232.7 |
| 94.2 | 224.1 |
| 141.4 | 209.9 |
| 188.5 | 190.6 |
| 235.6 | 166.6 |
| 282.7 | 138.5 |
| 329.9 | 107.0 |
| 377.0 | 72.8 |
| 424.1 | 36.9 |
| 471.2 | 0(頂上) |
中心線を引き、表の距離の位置で直角な線を引いて、幅の半分ずつを左右に取ります。点をなめらかにつなぐと舟形になります。
舟形の枚数と、いちばん広い幅
直径600mmの半球で、舟形の枚数を変えたときの底の幅です。舟形の長さは枚数によらず471.2mmです。
| 枚数 | 底の幅(mm) |
|---|---|
| 6枚 | 314.2 |
| 8枚 | 235.6 |
| 12枚 | 157.1 |
| 16枚 | 117.8 |
枚数を増やすほど1枚は細くなり、球の形に近づきますが、継ぎ目の数も増えます。
計算例2:直径1,000mmの半球を12枚の舟形で作る
半径500mm、12枚の場合、舟形の長さは785.4mm、底の幅は261.8mmです。
| 底からの距離(mm) | 幅(mm) |
|---|---|
| 0 | 261.8 |
| 78.5 | 258.6 |
| 157.1 | 249.0 |
| 235.6 | 233.3 |
| 314.2 | 211.8 |
| 392.7 | 185.1 |
| 471.2 | 153.9 |
| 549.8 | 118.9 |
| 628.3 | 80.9 |
| 706.9 | 41.0 |
| 785.4 | 0(頂上) |
輪切りの計算
輪切りでは、帯の下の円と上の円を通る円錐台として展開します。帯の下の円の半径をr1、上の円の半径をr2、帯の斜めの幅をsとすると、扇形の外側の半径は s × r1 ÷(r1 − r2)、内側の半径はそこからsを引いた値です。扇形の開く角度は 360° × r1 ÷ 外側の半径 です。計算は円錐台の展開図と同じです。
直径600mmの半球を、中心から見て18度ずつ5本の帯に分けると、次のようになります。帯の斜めの幅は、直線で測って 2 × 300 × sin 9° = 93.9mmで、どの帯も同じです。
| 帯(下から) | 外側の半径 | 内側の半径 | 開く角度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1917.7 | 1823.9 | 56.3° |
| 2 | 628.5 | 534.6 | 163.4° |
| 3 | 343.2 | 249.4 | 254.6° |
| 4 | 197.9 | 104.0 | 320.8° |
| 5 | 93.9 | 0(円錐) | 355.6° |
赤道に近い帯は円筒に近いので、外側の半径がとても大きく、開く角度の小さい扇形になります。頂上の帯は円錐になり、ほとんど円板に近い形になります。
どちらを選ぶか
舟形は同じ型紙を枚数分作ればよいので、型紙づくりが簡単です。ただし1枚ずつを少し曲げながら合わせる必要があります。輪切りは帯ごとに型紙が違いますが、1枚ずつは円錐として素直に丸められます。仕上がりの形、板厚、つなぎ方に合わせて選んでください。
よくある失敗
舟形の長さ方向を高さで測る
舟形の長さ方向の距離は、球の表面に沿った長さ(R × φ)です。真上に測った高さで点を取ると、舟形が短くなり、頂上で合いません。
板厚を考えずに外径で作る
厚い板で作る場合は、板厚の真ん中の半径で計算します。外径のまま計算すると、組み立てたときに外側が大きくなります。
輪切りの帯の幅を弧の長さで取る
輪切りの扇形の計算に使う帯の幅は、帯の上下の円を結ぶ直線の長さ(弦)です。表面に沿った弧の長さを使うと、帯が少し長くなります。
球・ドームの展開図についてよくある質問
球はなぜそのまま平らに展開できないのですか
球の表面は、どの方向にも曲がっているためです。縦に割る舟形か、横の帯に分ける輪切りで、平らな板に近い形に分けて作ります。
舟形は何枚にすればいいですか
大きさと板厚で決めます。枚数が多いほど球に近くなりますが、継ぎ目が増えます。1枚ずつが曲げやすい幅になる枚数を目安にします。
輪切りの帯は何本にすればいいですか
帯を細かくするほど、帯の境目の角が小さくなって球に近づきます。帯ごとの型紙が違うので、手間と仕上がりのつり合いで決めます。









