Y管(二股分岐)の展開図の書き方継ぎ目の考え方と型紙の寸法
Y管(二股分岐)は、1本の管から2本の枝が分かれる継手です。同じ外径の管どうしなら、継ぎ目はすべて平面になるので、3本とも斜め切りの組み合わせとして型紙が作れます。この記事では、継ぎ目の考え方と、100A(外径114.3mm)で左右30度のY管の型紙の寸法を説明します。
継ぎ目は3か所とも平面
同じ外径の管が交わるとき、その継ぎ目は、2本の管の軸がつくる角を2等分する平面になります。エビ管の継ぎ目が平面になるのと同じ理屈です。Y管では、次の3つの平面で管を切ります。
- 元の管と右の枝の継ぎ目:2本の軸の角を2等分する平面
- 元の管と左の枝の継ぎ目:同じく2等分する平面
- 右の枝と左の枝の継ぎ目:左右の枝の角を2等分する平面(左右対称なら真ん中の縦の面)
元の管は2つの平面で屋根のように切り、それぞれの枝は「元の管との継ぎ目」と「もう1本の枝との継ぎ目」の2つの平面で切ります。
計算例:100A・左右30度(枝どうしの開き60度)
元の管の最大の切込みは 57.15 × tan 15° = 15.3mm、枝の最大の切込みは 57.15 × tan 60° = 99.0mmです。16等分した各点の高さは次のとおりです(型紙の横幅は円周の359.1mm)。
| 点 | 基準線からの距離(mm) | 元の管の高さ(mm) | 右の枝の高さ(mm) |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 15.3 | 99.0 |
| 1 | 22.4 | 9.5 | 61.1 |
| 2 | 44.9 | 4.5 | 29.0 |
| 3 | 67.3 | 1.2 | 7.5 |
| 4 | 89.8 | 0 | 0 |
| 5 | 112.2 | 1.2 | 7.5 |
| 6 | 134.7 | 4.5 | 29.0 |
| 7 | 157.1 | 9.5 | 61.1 |
| 8 | 179.5 | 15.3 | 99.0 |
| 9 | 202.0 | 9.5 | 93.1 |
| 10 | 224.4 | 4.5 | 88.2 |
| 11 | 246.9 | 1.2 | 84.8 |
| 12 | 269.3 | 0 | 83.7 |
| 13 | 291.8 | 1.2 | 84.8 |
| 14 | 314.2 | 4.5 | 88.2 |
| 15 | 336.6 | 9.5 | 93.1 |
| 16 | 359.1 | 15.3 | 99.0 |
右の枝は、点0〜8の半周が元の管との継ぎ目、点8〜16の半周が左の枝との継ぎ目です。左の枝は右の枝と左右が入れ替わった形になります。
計算例2:100A・左右45度(枝どうしの開き90度)
枝を大きく開くと、元の管の切込みは深くなり、枝の切込みは浅くなります。元の管の最大の切込みは 57.15 × tan 22.5° = 23.7mm、枝の最大の切込みは 57.15 × tan 45° = 57.2mmです。
| 点 | 基準線からの距離(mm) | 元の管の高さ(mm) | 右の枝の高さ(mm) |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 23.7 | 57.2 |
| 1 | 22.4 | 14.6 | 35.3 |
| 2 | 44.9 | 6.9 | 16.7 |
| 3 | 67.3 | 1.8 | 4.4 |
| 4 | 89.8 | 0 | 0 |
| 5 | 112.2 | 1.8 | 4.4 |
| 6 | 134.7 | 6.9 | 16.7 |
| 7 | 157.1 | 14.6 | 35.3 |
| 8 | 179.5 | 23.7 | 57.2 |
| 9 | 202.0 | 14.6 | 48.1 |
| 10 | 224.4 | 6.9 | 40.4 |
| 11 | 246.9 | 1.8 | 35.3 |
| 12 | 269.3 | 0 | 33.5 |
| 13 | 291.8 | 1.8 | 35.3 |
| 14 | 314.2 | 6.9 | 40.4 |
| 15 | 336.6 | 14.6 | 48.1 |
| 16 | 359.1 | 23.7 | 57.2 |
右の枝の点8〜16の半周は、左の枝との継ぎ目です。左右45度では左右の枝どうしが直角に交わるので、この半周は、切断角45度の斜め切りと同じ平面で切ることになります。
枝の角度と切込みの関係
左右対称のY管で、枝が元の管の軸から開く角度をβとすると、最大の切込みは次のとおりです(rは管の半径)。
| 管 | 最大の切込み | 100A・30度 | 100A・45度 |
|---|---|---|---|
| 元の管 | r × tan(β ÷ 2) | 15.3 | 23.7 |
| 枝 | r × tan(90° − β) | 99.0 | 57.2 |
枝の開きが小さいほど、枝どうしの継ぎ目が長く深くなり、型紙の山が高くなります。
型紙の使い方
- 3本とも円周の長さの型紙を作り、各点の高さに点を打ってなめらかにつなぎます。
- 型紙は、下の直線を残す側(管端から離れた側)に置き、曲線の山が管端の側を向くように巻きます。
- 元の管は、高さ0の点(点4と点12)が左右の枝の分かれる方向になるように巻きます。
- 枝は、点4と点12がY管の面(3本の軸がのる面)にくるように巻きます。点4の側が元の管との継ぎ目の低いところ、点12の側がもう1本の枝との継ぎ目です。
- 3本を仮付けして、枝の角度と継ぎ目のすき間を確かめてから本溶接します。
よくある失敗
3本の巻き方の向きがそろっていない
型紙の点0を合わせる位置と、巻く回り方を3本でそろえないと、継ぎ目の山と谷が合いません。点0は、3本の軸がのる面から真上(手前)に来る線に合わせます。
左右の枝を同じ向きでけがく
左の枝は右の枝と左右が入れ替わった形です。同じ型紙を使う場合は、裏返して巻きます。
仮付けせずに本溶接する
3か所の継ぎ目が1点で集まるので、1か所のずれがほかの継ぎ目のすき間になって出ます。3本を仮付けして角度とすき間を確かめてから本溶接します。
注意
継ぎ目が平面になるのは、同じ外径の管どうしの場合です。枝の径が違う場合は、斜めT管と同じ考え方で、細い管の側に曲がった切断線を入れます。左右で角度が違う非対称のY管も、同じ考え方で3つの平面から型紙を作れます。
Y管についてよくある質問
Y管の継ぎ目はなぜ平面になるのですか
同じ外径の管どうしが交わると、継ぎ目は2本の軸の角を2等分する平面になるからです。そのため、3本とも斜め切りの組み合わせとして型紙が作れます。
枝の径が元の管と違うときは
継ぎ目が平面にならないので、斜めT管と同じ考え方で、細い管の側に曲がった切断線を入れます。
左右で角度が違うY管も作れますか
作れます。3つの継ぎ目の平面を、それぞれの軸の角を2等分する位置にとれば、同じ手順で型紙が出せます。









