階段の蹴上げ・踏面の計算方法住宅の基準と段数の決め方、ささら桁の寸法
階段の蹴上げと踏面は、階高と段数から決めます。この記事では、蹴上げの計算方法、住宅の階段の基準、上りやすさの目安、ささら桁に刻む寸法の出し方を、階高2,900mmの計算例で説明します。
蹴上げは「階高 ÷ 段数」
蹴上げは1段ごとに上がる高さ、踏面は1段ごとに進む奥行きです。すべての段の蹴上げをそろえるので、蹴上げは階高を段数(蹴上げの数)で割った値になります。
住宅の階段の基準
建築基準法施行令第23条では、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く)の寸法が次のように決められています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 蹴上げ | 23cm以下 |
| 踏面 | 15cm以上 |
| 階段と踊場の幅 | 75cm以上(一般的な住宅の場合) |
回り階段の踏面は、狭い側から30cmの位置で測ります。階段には手すりも必要です。階段の高さが4mを超えるときは、4m以内ごとに踊場が必要です。直階段の踊場の奥行きは1.2m以上です。
段数ごとの蹴上げ(階高2,900mm)
| 段数 | 蹴上げ(mm) | 蹴上げ×2+踏面225(mm) |
|---|---|---|
| 13段 | 223.1 | 671.2 |
| 14段 | 207.1 | 639.3 |
| 15段 | 193.3 | 611.7 |
| 16段 | 181.3 | 587.5 |
どの段数でも基準の23cm以下には入りますが、13段では蹴上げが高く、急な階段になります。上りやすさの目安として、「蹴上げ×2+踏面」が60〜65cm程度になるように決める方法がよく使われます。この例では14段か15段がその範囲に入ります。
住宅性能表示の高齢者等配慮対策等級3では、勾配が22/21以下、「蹴上げ×2+踏面」が55〜65cm、踏面が19.5cm以上、蹴込みが3cm以下と決められています。14段・踏面225mmなら、寸法の条件を満たします。等級4・5では、勾配が6/7以下になります。
計算例2:階高2,800mmの場合
| 段数 | 蹴上げ(mm) | 蹴上げ×2+踏面225(mm) | 判定の目安 |
|---|---|---|---|
| 12段 | 233.3 | 691.7 | 蹴上げが23cmを超えるので不可 |
| 13段 | 215.4 | 655.8 | 基準内だが、65cmを少し超える |
| 14段 | 200.0 | 625.0 | 60〜65cmの範囲 |
| 15段 | 186.7 | 598.3 | 60cmを少し下回る |
階高2,800mmでは、12段にすると蹴上げが233.3mmになり、建築基準法施行令の23cm以下を満たしません。14段なら蹴上げ200.0mmで、踏面225mmとすると1段のピッチは301.0mm、勾配の角度は41.6°、階段の水平の長さは225 × 13 = 2,925mmです。
段数を1段増やすと、蹴上げは低くなりますが、踏面が同じなら階段の水平の長さが1段分長くなります。間取りで使える長さと合わせて決めます。
ささら桁に刻む寸法
ささら桁は、踏板を乗せるために上端をのこぎりの歯のように刻んだ桁です。14段・踏面225mmの場合、刻みの寸法は次のようになります。
| 求めるもの | 計算式 | 値 |
|---|---|---|
| 蹴上げ | 2,900 ÷ 14 | 207.1mm |
| 1段のピッチ(上端で測る) | √(踏面² + 蹴上げ²) | 305.8mm |
| 勾配の角度 | tan⁻¹(蹴上げ ÷ 踏面) | 42.6° |
| 階段の水平の長さ | 踏面 × 13 | 2,925mm |
| 1段目の蹴上げ(踏板30mm) | 蹴上げ − 踏板の厚さ | 177.1mm |
踏板は刻みの上に乗るので、そのままだと1段目は踏板の厚さの分高くなり、いちばん上の段(上の床に上がる段)は同じだけ低くなります。1段目の床側を踏板の厚さだけ切り詰めると、桁全体がその分下がり、すべての段の高さがそろいます。
墨付けの手順
- 曲尺の長手を踏面、妻手を蹴上げに合わせて、ささら桁の上端に当てます。
- 長手に沿って踏板を乗せる線、妻手に沿って蹴込みの線を引きます。
- 上端に沿って1段のピッチずつずらしながら、同じ線を段数分引きます。
- 1段目は踏板の厚さの分だけ床側を切り詰めます。
刻んだあとに残る桁の成が小さすぎると弱くなるので、材料の成は余裕をもって選びます。
よくある失敗
段数を踏面の数で数える
段数は、上の床に上がるまでの蹴上げの数で数えます。踏面の数は、最後の段が上の床になるので、段数より1つ少なくなります。階段の水平の長さは 踏面 ×(段数 − 1)です。
1段目といちばん上の段の高さがそろわない
ささら桁の刻みの上に踏板を乗せると、踏板の厚さの分だけ1段目が高く、いちばん上の段が低くなります。1段目の床側を踏板の厚さだけ切り詰めてそろえます。
仕上げの厚さを入れ忘れる
階高は、仕上がった下の床から上の床までの高さで計算します。床の仕上げ材の厚さが上下で違うと、蹴上げがずれます。
階段の蹴上げ・踏面についてよくある質問
住宅の階段の蹴上げは何cmまでですか
建築基準法施行令第23条で、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く)の蹴上げは23cm以下、踏面は15cm以上と決められています。
上りやすい蹴上げと踏面の目安は
「蹴上げ×2+踏面」が60〜65cm程度になるように決める方法がよく使われます。住宅性能表示の高齢者等配慮対策等級3では、55〜65cmとされています。
段数はどうやって決めますか
階高を段数で割った蹴上げが基準内に入り、「蹴上げ×2+踏面」が目安の範囲になる段数を選びます。階段に使える水平の長さも確かめて決めます。









